Drug Delivery System(DDS)についは、核酸医薬との関連を中心に話したいと思いますが、その前にDDSが考えられた経緯について少し話してみたいと考えています。 低分子創薬が盛んな2000年以前は、レセプターとリガンドの創薬のスクリーニングで、天然物などや合成化合物をスクリーニングすることで、生理活性物質を探索してきました。しかし、見つかった生理活性物質が直ぐに薬になるかと言うと、以前にも話したように生体に投与した際の体内動態などの問題で殆どの生理活性物質は薬になりません。そこで、経口投与薬の場合、体内吸収や体内動態を良くするために発展したのが製剤の技術です。生理活性物質にポリエチレンオキシドとポリエチレングリコールなどを加え、混合した徐放性製剤にすることにより体内での放出を制御し、薬物の血中濃度を治療領域に長時間一定に維持することで、体内での薬効作用をコントロールできました。私はこれがDDSの考え方の始まりと考えています。
皆様、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。コロナ禍が一向に終息の兆しが見えませんが、今年はWithコロナの生活が昨年以上に定着していくのではないでしょうか?それでは、今回は予定どおりsiRNAを紹介しましょう。siRNAは2006年のノーベル賞生理学・医学賞を受賞したスタンフォード大学のProf. Andrew Z. Fireとマサチューセッツ大学のProf. Craig C. Melloが発見した、2本鎖RNAによる遺伝子発現制御現象のRNA interference(RNA干渉)の現象を利用した核酸医薬です。