新発見の脂質メディエーター (Elovanoids) が脳を卒中や神経変性疾患から護っている可能性

2017
10月 11
(水)
11:00
脳科学のライフサイエンスニュース

新発見の脂質メディエーター (Elovanoids) が脳を卒中や神経変性疾患から護っている可能性

LSU Health New Orleans, Neuroscience Center of ExcellenceのBoyd ProfessorとDirectorを兼任するNicolas Bazan (photo), MD, PhDの率いる研究グループは、傷害や疾患に反応して細胞間情報伝達神経炎症/免疫活動を同調させる、これまで知られていなかったクラスの化学物質をの中に見つけた。このクラスの化学物質は、elovanoids (ELVs) と呼ばれ、オメガ3極長鎖多価不飽和脂肪酸 (VLC-PUFAs, n-3) で構成されている生理活性的な化学的伝達物質である。また、この化学物質は細胞が損傷を受けたり、ストレスにさらされるとその細胞の要求に応じて分泌される。

Dr. Bazanは、「neuroprotectin D1 (22 carbons) など、オメガ3脂肪酸の伝達物質については以前から知っていたが、この発見の目新しいところは、elovanoidsが長さにして炭素原子32個ないし34個でできていることだ。このタイプの構造を研究すれば、ニューロン回路を支えている細胞間のクロストーク、特に疾患による傷害が起きた場合に細胞の平衡状態を回復する細胞間のクロストークに関する理解をさらに深めてくれるものと期待している」と述べている。大脳皮質や海馬から採取した神経細胞の培養や虚血性脳卒中のモデルを対象にした研究グループは、elovanoidsが単に神経細胞を保護したり、その生存を助けたりするだけでなく、神経細胞の完全性や安定性の維持を助けることも明らかにした。

この研究論文は、2017年9月27日付Science Advancesオンライン版に掲載されたこのオープンアクセス論文は、「Elovanoids Are a Novel Class of Homeostatic Lipid Mediators That Protect Neural Cell Integrity Upon Injury (elovanoidsは、神経細胞損傷時にその完全性を守る新発見の恒常性維持脂質メディエーター)」と題されている。Dr. Bazanは、「私達の研究成果は、脳卒中パーキンソン病アルツハイマー症候群などの障害が起きて、神経保護信号伝達を活性化しなければならなくなった時に脳の複雑さと回復力を支える仕組みを理解する突破口を開いた」と述べている。ここで重要なのはニューロン同士が互いに情報を伝達しあう手段だ。この新しく発見された化学物質は、シナプス構成全体にわたる情報伝達を担っており、情報が神経回路を正確に流れるように確保している。ニューロン同士の間のシナプス結合の仕方については解明されているが、この結合は適度な強さに変化できるよう十分に柔軟でなければならない。elovanoidsは、シナプス・オーガナイザーとして中心的な役割を果たしているかも知れず、特にまだ治療法が見つかっていない自閉症や筋萎縮性側索硬化症 (ALS) などシナプス機能障害の症状では特に重要になると考えられる」と述べている。

 

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