有機反応によるヒト型糖鎖合成法


この他にも有機反応を使った糖鎖合成法がある。この方法の場合、基質となる物質は単糖であり、糖鎖合成酵素を使った方法と異なり、原料が高コストとなることは無い。また、gオーダーで合成も可能である。特に日本では糖鎖の有機合成研究の歴史が長く、いろいろな方法が開発され、現在も世界のトップを走っている。しかしながら、糖には結合に関与する水酸基(グルコースの場合5カ所)が複数存在し、目的の結合位置(1-2,1-3,1-4,1-6結合)に、目的の結合様式(α、β)でつなごうとした場合、結合させる部分以外の水酸基をある種の保護基で「ブロック」した上で、結合する部分を「活性化」し、縮合させることで、はじめて1段階目の反応が終わる。

 

著者:中北 愼一

香川大学

総合生命科学研究センター

糖鎖機能解析研究部門

准教授

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