
前回の最後で、次回は低分子・中分子創薬の今までの考えを変えるかも知れないAntibody-drug conjugate(ADC)製剤に関して説明しますと言って、その後中断して失礼いたしました。
低分子・中分子創薬の場合、ターゲットプロテインを用いた阻害物質のバインデングスクリーニングだと脂溶性の高い化合物が多く見つかり、殆どが体内動態の悪い化合物が多いと以前にお話ししました。そこで、低分子創薬はHTS-Screeningでリード化合物を探索し、次にX線などのバイオストラクチャーの情報とHT-In-Vitro ADME Screeningの情報からMedicinal Chemistryを用い高活性で体内動態の良い化合物に合成変換して医薬候補品にするという創薬の手法が必要で、そのために多大な人員と時間を費やすことになります。更に中分子も同様な創薬の手法を用いますが、低分子以上にMedicinal Chemistryの分野が困難で、より一層時間がかかります。
そこで、Antibody-drug conjugate(ADC)の手法を用いるとデリバリー抗体が目的の低分子・中分子を運んでくれるので体内動態と毒性・副作用の問題解決するのではないかと考えています。
まず初めにADCの基礎的な考え方をお話しします。ADCとは疾病細胞を認識する抗体(デリバリー...