
それでは、本題の「創薬よ何処へ」に入りましょう。そこで初めは創薬研究現状と個別化医療などについて少し考えてみたいと思います。
近年創薬の分野は、以前から行われてきた低分子医薬、1990年後半から盛んに開発が行われ2000年初頭に製品化された抗体医薬、更にプロテイン-プロテインインターラクション(PPI)を阻害するようなサイクリックペプタイドのような中分子医薬や、ロシュ・ジェネンテックの抗がん剤のKadcylaのような抗体を用いた低分子医薬のドラッグデリバリーシステムであるAntibody-drug conjugate(ADC)分野、また最近話題になっている日本で小野製薬が発売した抗がん剤のオブジーボの様な免疫阻害剤の分野などと多種多様になり、そこから出てくる医薬候補品も多彩になっています。
この様な創薬研究の多様性の中、今まで行われて来た低分子創薬はHTS-Screeningでリード化合物を探索し、次にX線などのバイオストラクチャーの情報とHT-In-Vitro ADME Screeningの情報からMedicinal Chemistryを用い高活性で体内動態の良い化合物に合成変換して医薬候補品にするという、創薬の手法が固定化しています。そこで、研究開発手法が固定した低分子創薬に対しては、最近の創薬研究の外...