バイオ研究コラムプロテオミクス研究は探索から機能解析へタンパク質同定法(3) - バイオマーケットjp

タンパク質同定法(3)

プロテオミクス バイオマーカー 質量分析 


  著者:  作成:2010/1/11 17:15:01

質量分析ではPMFとは別にMS/MSによるタンパク質同定がよく行われる。原理については、成書を参考にしていただき、ここでは同定のための注意点やコツについて述べたい。よく使われているシステムにTOF/TOFとLC-MS/MSがある。TOF/TOFはMALDIシステムであるので、装置は高いが操作が簡便でハイスループット化も容易であり、PMFとMS/MSを組み合わせることができる。サンプルから得られるペプチド断片質量の全体のプロファイルをみたうえで、個別の断片ペプチドの配列(MS/MS)を知ることができる利点がある。

LC-MS/MSはイオントラップやQ-TOFタイプなどの質量分析計とnanoLCを組み合わせるので、HPLCの知識が必要で複雑なシステムである。しかしながら、一旦システムを構築することができれば、オートサンプラーを使った自動化やハイスループット化が容易で、より精度の高いタンパク質同定が可能となる。

MS/MSでは、ペプチドイオンをアルゴンガスなどとの衝突エネルギーでフラグメンテーションしたときのスペクトルをデータベースと照合することでタンパク質を同定する。この場合もPMFと考え方は同じで、統計学的な有意差でもって評価するために、結果の正確さはイオンの数と質量精度に依存する。最終的なタンパク質同定のために、サーチ結果のMS/MSシグナルのbイオンやyイオンの一致度を確認したほうがよい。サーチの閾値以下であっても、同定すべきタンパク質が存在することもある。

MS/MSスペクトルはペプチドの配列情報を含むことから、データベースに依存しないでシグナルの質量差からアミノ酸配列を推定することも可能である。デノボ(denovo)シークエンシングと呼ばれる方法である。決定配列の正確さはプロテインシークエンサーにはかなわないが、質のよいシグナルが得られれば、比較的容易に配列を推定することができる。比較的短いペプチドに適している。アミノ酸配列に依存した特長的なフラグメンテーションパターンを知っておくと、MS/MSスペクトルを読むときの参考となる。

LC-MS/MSでは、LCによりペプチドを分離するので、複数のタンパク質が混在するサンプルには特に適している。このことから、網羅的タンパク質同定を目的としたショットガン解析に利用される。LC-MS/MSによる網羅的同定解析では、同一サンプルの分析回数を増やすと同定タンパク質の数が増加するので、複数回の分析を勧めたい。

 

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