バイオ研究者向けLC-MS講座 「LC-MSにおけるイオン導入細孔の電圧設定とマススペクトルパターンについて」 - 質量分析屋のネタ帳

LC-MSにおけるイオン導入細孔の電圧設定とマススペクトルパターンについて


トップ  >  LC-MSにおけるイオン導入細孔の電圧設定とマススペクトルパターンについて

  著者:   作成:2020/5/13 10:00:17

質量分析屋の高橋です。


 前回、LC-MSに用いられているESIやAPCIのイオン源において、イオン取導入細孔の電圧設定について解説する記事を書きました。


 今回はその続き、”この電圧を変えると具体的にどうなるか?”を具体例を挙げて解説したいと思います。


 Waters社のSYNAPT G2-Sを用いて、ペプチドの一種であるロイシン・エンケファリン(C28H37N5O7、モノアイソトピック質量 555.2693)を測定した例です。正イオン検出のESIで測定すると、溶媒条件によっても異なりますが、m/z 556([M+H]+)が主に検出されます。イオン導入細孔(cone)電圧を30 V, 50 V, 70 Vに設定した時のマススペクトルを図1に示します。


 


 図1 イオン導入細孔(cone)電圧と[M+H]+強度、マススペクトルパターンの関係


 


 


 


m/z 556イオン強度は、cone電圧を30 Vに設定した時に最高値を示しました。データには示していませんが、これより低い電圧では、同イオン強度も低い値を示しました。そして、30 Vよりも高い...

 

続きを読む
ここから先は会員限定のコンテンツです
  •      

この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
このエントリーをはてなブックマークに追加

投票数:43 平均点:4.42

コメント一覧

投稿ツリー


tyutaka  投稿日時 2020/5/14 8:34
ご質問ありがとうございます。
マススペクトル右側に表示してある数値はメインピークの強度ですから、これらを使って計算できます。30 Vの時の強度を100とした時、50 Vでは36.2、70 Vでは18.8となります。
定量に関する部分は内容がよく理解できないので、必要であればまたご質問下さい。
tryptophan  投稿日時 2020/5/13 23:44
30、50、70Vでm/z556メインピークの相対強度を教えて下さい。直接定量的に比較できるものなのか良く分かりませんが。イオン化がcone電圧に影響を受けない内部標準で定量比較ができそうな気がするのですが。MSの素人より。


  • 自己紹介
    はじめまして。質量分析屋こと、エムエス・ソリューションズの髙橋 豊です。 このコーナーで、バイオ研究者向けの LC-MS に関する話題を提供していくことになりました。私が 質量分析 ( mass…続きを読む  (2016-4-19)  
  • 質量分析計におけるキャリブレーションの重要性
    こんにちは。質量分析屋の高橋です! 初回は、 質量分析計 (MS装置)における キャリブレーション の話です。 MS装置の キャリブレーション とは、MSで得られるマススペクトルの横軸…続きを読む  (2016-5-18)  
  • マススペクトルから何がわかる?
    マススペクトル は質量分析によって得られる最も基本的なデータであり、縦軸を信号強度、横軸を m/z で表した二次元表示です( mとz はそれぞれイタリック体で表記)。 ここで、 m はイオンの…続きを読む  (2016-6-1)  
  • m/z とは?
    こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。 第一回目、第二回目共に、 マススペクトル の横軸である m/z について触れています。今回は、このことについて、もう少し掘り下げて考えてみます。 日本質量…続きを読む  (2016-6-15)  
  • MSで得られる質量情報について
    こんにちは。質量分析屋の高橋です。二回目の「 マススペクトル から何がわかる?」で、“質量分析では分子の質量情報が得られる”と書きました。 “質量分析で得られるのは分子量情報ではないのか?”と思…続きを読む  (2016-7-6)  

おすすめ製品・サービス

    大容量の抗体精製に使用できる優れた結合能 Ab-Capcher 抗体精製アフィニティ磁気ビーズは、特許の高結合・アルカリ耐性 rProtein A 誘導体を結合したアフィニティ磁気ビーズです。 従来製品の約5倍の結合能とアルカリ洗浄による再使用ができるため、従来のアフィニティ磁気ビーズでは困難だった多量の抗体精製を簡便に行うことができます。 ラット・マウスをはじめ幅広い生物種の抗体精製にご利用いただけます。もっと読む
    最少1 クリックで自動セットアップ - スマートな精密質量測定で新しいユーザーエクスペリエを SmartMS を搭載した ACQUITY RDa 検出器では、広範囲の業務を行う多忙なラボでも高品質の精密質量データセットを生成でき、必要な時に、素早く信頼性の高いデータが得られます。 スマートフォンのように感覚的に使用でき、小型でありながら高性能な SmartMS により、高品質で再現性のある結果を、経験やスキルを問わずご使用いただけます。 直感的なシステムヘルスチェックと専用のエンドツーエンドのスマートなワークフローがもたらす、高性能でありながら使い勝手のよいテクノロジーを、このコンパクトな精密質量検出器で体験してください。 SmartMS で精密質量測定を可能にします。製薬、アカデミア、天然物スクリーニング、法医学、食 ...もっと読む
    nano ESI LC-MS/MSシステムによる膜蛋白質プロテオーム解析 SDSは強力な可溶化方法であるが、LC/MSによる解析の場合、サンプル中のSDSの存在は障壁となり除去しなくてはなりませんが微量サンプルのロスなくSDSを除去するには高度なテクニックが必要になります。 弊社の膜蛋白質前処理法(MEMTECH)では5%の高濃度SDSをLysate Bufferとして細胞中に存在する全てのタンパク質の可溶化を行い、可溶化されたすべての蛋白質は消化酵素によってペプチド断片となり高感度LC/MSで解析を行います。 トリプシン消化の場合、47℃、1時間で酵素消化が完了します。MEMTECHではシングルチューブにより目的サンプルのロスなく、SDSを完璧に取り除くことが可能な膜蛋白質前処理技術です。 もっと読む

バイオマーケットjpは、ライフサイエンス研究者・バイオビジネス関係者のための会員制サイトです。

ユーザー登録すると...

コンテンツの全文表示・コメント投稿・各種お申し込み・ダウンロード等、

様々なユーザー専用機能をご利用いただくことができます。

 

ユーザー登録は1分で完了

ユーザー登録は無料

サイト運営者

バイオアソシエイツ株式会社

バイオアソシエイツ株式会社
東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワー 3F
BioAssociates.co.jp

What We Do

ライフサイエンス事業向け
マーケティングサービスを提供しています


  • マーケティングリサーチ
  • コンサルティング
  • 外部連携支援
  • 科学顧問
  • マーコム