バイオ研究者向けLC-MS講座 「ESIで起こるマトリックス効果(イオン化抑制)について」 - 質量分析屋のネタ帳

ESIで起こるマトリックス効果(イオン化抑制)について


トップ  >  ESIで起こるマトリックス効果(イオン化抑制)について

  著者:  作成:2019/2/14 11:00:23

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。


LC/MSで汎用的に用いられているイオン化法はESIですが、ESIの大きな問題はマトリックス効果特にイオン化抑制が起こり易い事です。ここでは、、“ESIでイオン化抑制が何故起こるのか”について解説したいと思います。因みに、この内容の多くは、山梨大学の平岡先生から教えて頂いたことです。


前述した様に、ESIでは夾雑成分の共存によって分析種のイオン化が抑制(あるいは促進)される“マトリックス効果”という現象が頻繁に起こります。生体試料を測定するメタボロミクスなどの研究分野においては、特に問題になっています。イオン化抑制の原因になる物質には様々なものがありますが、中でも血漿試料に含まれるリン脂質や試料調製過程でコンタミしてしまう(と考えられる)ポリエチレングリコールなど界面活性作用をもつ物質は、マトリックス効果を示す代表例です。


ESIでは、図1に示すように、キャピラリー先端部の液体の塊から、静電的な引力によってイオンが液滴として引きちぎられることによって帯電液滴となり、脱溶媒⇒液滴の分裂⇒イオンエバポレーションを経て、気相イオンが生成します。


図1 <...

 

続きを読む
ログインしてください
  •      

この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
このエントリーをはてなブックマークに追加

投票数:9平均点:4.44
  • 自己紹介
    はじめまして。質量分析屋こと、エムエス・ソリューションズの髙橋 豊です。このコーナーで、バイオ研究者向けの LC-MS に関する話題を提供していくことになりました。 私が 質量分析 ( mass sp…続きを読む (2016-4-19)  
  • 質量分析計におけるキャリブレーションの重要性
    こんにちは。質量分析屋の高橋です! 初回は、 質量分析計 (MS装置)における キャリブレーション の話です。 MS装置の キャリブレーション とは、MSで得られるマススペクトルの横軸…続きを読む (2016-5-18)  
  • マススペクトルから何がわかる?
    マススペクトルは質量分析によって得られる最も基本的なデータであり、縦軸を信号強度、横軸を m/z で表した二次元表示です( mとz はそれぞれイタリック体で表記)。 ここで、 m はイオンの質量…続きを読む (2016-6-1)  
  • m/z とは?
    こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。 第一回目、第二回目共に、マススペクトルの横軸である m/z について触れています。今回は、このことについて、もう少し掘り下げて考えてみます。 日本質量分析…続きを読む (2016-6-15)  
  • MSで得られる質量情報について
    こんにちは。質量分析屋の高橋です。二回目の「マススペクトルから何がわかる?」で、“質量分析では分子の質量情報が得られる”と書きました。 “質量分析で得られるのは分子量情報ではないのか?”と思われ…続きを読む (2016-7-6)  

おすすめ製品・サービス

貴重なサンプルのための超低温保存ソリューションMDF-DU702VX-PJのイメージ MDF-DU702VX-PJ TwinGuard(デュアル冷却システム)を採用しています。-70℃まで冷却可能な独立冷凍回路2基(A/B)で-85℃運転。万が一片側冷凍回路にトラブルが発生しても、もう一方の冷凍回路で、約-70℃を維持します。 収納効率に優れる外扉断熱方式と、温度分布に有効な内扉を複合的に採用した新プラットフォームにより、従来機種と同様のフットプリントながら収納効率が約10%向上。700Lクラスで2インチのクライオボックスを576個収納可能です。 真空断熱材VIP Plusと新世代プラットフォームとの組み合わせによる断熱性能の向上により、消費電力を従来機種から約16%削減。ECOモードをセレクトすることで消費電力をさらに削減できます。 人間工学に基いた新開発 ...もっと読む
非特異的吸着によるペプチドおよびタンパク質の損失を防ぐ サンプルの損失を招く可能性のある化合物と表面の相互作用を最小限に抑えることで、化合物の回収率、感度、および再現性を向上させるように開発された新しい革新的なテクノロジーMaxPeak High Performance Surfaces(HPS)を採用しています。 非特異的結合とイオン性相互作用によるサンプルロスを減らすことにより、LC-MSによるペプチドおよびタンパク質定量における回収率、感度および再現性の要件を高いレベルで達成可能にします。これにより分析結果に対する信頼性が高まり、長期アッセイの再現性を改善します。 特にLC-MSを使用する分析者向けに、少量のサンプルをより効率的に使用できるように、最小残存量が少ないオートサンプラーに対応した設計です。もっと読む
大容量の抗体精製に使用できる優れた結合能 Ab-Capcher 抗体精製アフィニティ磁気ビーズは、特許の高結合・アルカリ耐性 rProtein A 誘導体を結合したアフィニティ磁気ビーズです。 従来製品の約5倍の結合能とアルカリ洗浄による再使用ができるため、従来のアフィニティ磁気ビーズでは困難だった多量の抗体精製を簡便に行うことができます。 ラット・マウスをはじめ幅広い生物種の抗体精製にご利用いただけます。もっと読む

バイオマーケットjpは、ライフサイエンス研究者・バイオビジネス関係者のための会員制サイトです。

ユーザー登録すると...

コンテンツの全文表示・コメント投稿・各種お申し込み・ダウンロード等、

様々なユーザー専用機能をご利用いただくことができます。

 

ユーザー登録は1分で完了

ユーザー登録は無料

運営者:バイオアソシエイツ株式会社

運営会社:バイオアソシエイツ株式会社
質量分析屋のネタ帳
  • 髙橋 豊
    質量分析に関する技術コンサルティングを提供するエムエス・ソリューションズ株式会社 髙橋 豊 氏によるLC-MS講座です。 バイオ研究者向けにLC-MSに関する様々な話題やLC-MSの操作で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。

にほんブログ村 科学ブログ 生命科学へ

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。

  •      

登録ユーザー数
3369人
2020年01月19日 現在
新メンバー
kimiya 2020/1/17
cacao 2020/1/16
miya3 2020/1/16
おにく 2020/1/13
HiroK 2020/1/12
SHUSE 2020/1/9
はじめまして 2020/1/9
fskyk 2020/1/9
JUN TANA 2020/1/5
うまごん 2020/1/4
MJkawa 2019/12/26
serendip 2019/12/26
kkkkkkkk 2019/12/22
A3aaaas 2019/12/20
Type R 2019/12/17
31 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが 質量分析屋のネタ帳 を参照しています。)
登録ユーザ: 0 ゲスト: 31
BioQuick ニュース

BioQuick Newsは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中の生命科学関連のニュース・トピックスをタイムリーにお届けします。BioQuick Newsは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill.

抗体よもやま話
創薬よ何処へ
バーチャル展示会