バイオ研究者向けLC-MS講座 「高分解能MS/MSにより得られたプロダクトイオンスペクトル解析時の注意点-2」 - 質量分析屋のネタ帳

高分解能MS/MSにより得られたプロダクトイオンスペクトル解析時の注意点-2


トップ  >  高分解能MS/MSにより得られたプロダクトイオンスペクトル解析時の注意点-2

  著者:  作成:2017/4/5 18:00:03

こんにちは。質量分析屋の高橋です。


前回の関連投稿で、以下に示すプロダクトイオンスペクトルでおかしいと思う点についての疑問点を投げておきました。今回はその解説をします。


 


ここで言う“おかしい”というのは、このm/z 355プリカーサーイオン(1価)に対して有り得ないプロダクトイオンが観測されているという点です。このプリカーサーイオンの精密質量は355.1175であり、C, H, N, Oの元素を設定し2 ppmのmass tolerance(装置の性能を考慮)で組成推定を行うと、C19H13N7O(不飽和度17.0、誤差-0.31 ppm),C20H19O6(不飽和度11.5、誤差-0.32 ppm),のC6H21N5O12(不飽和度-1.0、誤差-1.75 ppm)の3候補が得られますが、同イオンの同位体パターンとC数との関係および不飽和度から、C20H19O6の可能性が最も高いことが分かります。  


このm/z 355.1175プリカーサーイオンが開裂して生成するプロダクトイオンとしては、m/z 337.1070とm/z 319.0963の2イオンは有り得ますが、m/z 285.0092とm/z 266.9986の2...

 

続きを読む
ログインしてください

    この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
    このエントリーをはてなブックマークに追加

    « 質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:EI編
    高分解能LC-MS/MSにより得られたプロダクトイオンスペクトル解析時の注意点-1 »



    友達にメールで勧める友達に伝える

    投票数:28平均点:5.36

    おすすめ製品・サービス

    ACQUITY UPLC H-Class Bio
    生体高分子分析のために設計されたクロマトグラフィーシステム  生体高分子分析に適した流路で設計されているため、高い回収とゼロキャリーオーバで生体高分子を変性させることなく、逆相(RP)、イオン交換(IEX)、サイズ排除(SEC)、親水性相互作用(HILIC)などのクロマトグラフィーが可能です。シャープで選択性の高い分離が得られ、タンパク、ペプチド、核酸、および糖鎖などのモニタリングや特性解析 に威力を発揮します。 
    iKnifeサンプリング機能搭載REIMS研究システム
    食品偽装、微生物学、組織学など、サンプルの素材・差異をダイレクトイオン化精密質量分析で瞬時に判断 iKnifeサンプリング機能搭載REIMS研究システムは高性能飛行時間型(Tof)質量分析計と強力で直感的なソフトウェア、ダイレクトイオン化を組み合わせることで、前処理が不要で迅速かつ容易な分子プロファイリングを可能としました。 この革新的な iKnife はハンドヘルドサンプリング装置で、情報を豊富に含んだ蒸気をサンプルの表面から直接生成します。この蒸気が飛行時間型質量分析計により分析され、数秒で正確な分子プロファイリングが得られます。
    Xevo TQ-XS 超高感度タンデム四重極型質量分析計
    生体試料中薬物濃度分析、高分子医薬品の定量で、更なる高感度を実現Xevo TQ-XSには、更なる高感度分析のために、最適化された様々なテクノロジーが搭載されており、より高感度が必要とされるバイオ医薬品やADC(抗体薬物複合体)の定量分析で、信頼性の高い結果を得ていただけます。
    • 自己紹介
      はじめまして。質量分析屋こと、エムエス・ソリューションズの髙橋 豊です。このコーナーで、バイオ研究者向けの LC-MS に関する話題を提供していくことになりました。 私が 質量分析 ( mass sp…続きを読む (2016-4-19)  
    • 質量分析計におけるキャリブレーションの重要性
      こんにちは。質量分析屋の高橋です! 初回は、 質量分析計 (MS装置)における キャリブレーション の話です。 MS装置の キャリブレーション とは、MSで得られるマススペクトルの横軸…続きを読む (2016-5-18)  
    • マススペクトルから何がわかる?
      マススペクトルは質量分析によって得られる最も基本的なデータであり、縦軸を信号強度、横軸を m/z で表した二次元表示です( mとz はそれぞれイタリック体で表記)。 ここで、 m はイオンの質量…続きを読む (2016-6-1)  
    • m/z とは?
      こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。 第一回目、第二回目共に、マススペクトルの横軸である m/z について触れています。今回は、このことについて、もう少し掘り下げて考えてみます。 日本質量分析…続きを読む (2016-6-15)  
    • MSで得られる質量情報について
      こんにちは。質量分析屋の高橋です。二回目の「マススペクトルから何がわかる?」で、“質量分析では分子の質量情報が得られる”と書きました。 “質量分析で得られるのは分子量情報ではないのか?”と思われ…続きを読む (2016-7-6)  

    おすすめ製品・サービス

    ソルナックチューブ
    リン酸塩緩衝液でのLC/MSを可能にするオンライン脱塩チューブ(ディスポ)、流量0.3ml/min 対応! HPLCと質量分析計の間に接続するだけで、移動相溶媒中のリン酸塩やトリフルオロ酢酸、微量に含まれるアルカリ金属などをオンライン・リアルタイムに除去できます。ラインナップは以下の三種類。CFAN(アニオン交換+カチオン交換):リン酸塩緩衝液のオンラインLC/MS測定CFOO(アニオン交換):リン酸、リン酸アンモニウム溶離液のオンラインLC/MS測定 トリフルオロ酢酸によるイオン化阻害の改善OOAN(カチオン交換):Naなどの付加イオンの削減
    Xevo G2-XS QTof四重極飛行時間型(QTof)質量分析計
    高性能ベンチトップ型QTof質量分析計により糖タンパク質をすべての構造レベルで解析! 高性能ベンチトップ型QTof質量分析計 Xevo G2-XS QTofをRapiFluor-MS標識試薬と組み合わせることで、前例のない MS および MS/MS 感度を実現し、微量の糖鎖成分までを容易に、より高い信頼性で同定します。 さらに、糖タンパク質プロファイリング、サブユニット解析、糖ペプチドマッピングと組み合わせることで糖タンパク質をすべての構造レベルで解析する総合的なソリューションを実現します。
    フルスペクトル分子イメージング
    MALDI、DESI、イオンモビリティー、高分解能質量分析を融合した高精度・高空間分解能分子イメージング 生理学と細胞機能をより理解し、組織または生体全体における薬剤の分布をモニター、可視化する目的で、ウォーターズでは、MALDI、DESI、イオンモビリティー、高分解能質量分析の技術の長所を融合しました。 空間分解能に優れ、質量分析イメージングとして実績の高いマトリックス支援レーザー脱離イオン化によるMALDIイメージング。マトリックスの塗布が不要で、同一のサンプルを異なる空間分解能や異なる極性で複数回測定が可能な脱離エレクトロスプレーイオン化によるDESIイメージング。 さらに独自のイオンモビリティー分離により選択性、同定信頼性を向上させる質量分析計と、質量分析イメージングのワークフローをすべて ...
    運営会社:バイオアソシエイツ株式会社

    バイオマーケットjpは、ライフサイエンス研究者・バイオビジネス関係者のための会員制サイトです。

    ユーザー登録すると...

    コンテンツの全文表示・コメント投稿・各種お申し込み・ダウンロード等、

    様々なユーザー専用機能をご利用いただくことができます。

     

    ユーザー登録は1分で完了

    ユーザー登録は無料

    運営者:バイオアソシエイツ株式会社

    質量分析屋のネタ帳
    • 髙橋 豊
      質量分析に関する技術コンサルティングを提供するエムエス・ソリューションズ株式会社 髙橋 豊 氏によるLC-MS講座です。 バイオ研究者向けにLC-MSに関する様々な話題やLC-MSの操作で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。

    にほんブログ村 科学ブログ 生命科学へ
      登録ユーザー数
      3026人
      2018年07月23日 現在
      新メンバー
      Dcotre 2018/7/19
      Kitazacc 2018/7/19
      Hiraku 2018/7/17
      いんたろう 2018/7/12
      yamakiyo 2018/7/12
      Chikiemo 2018/7/10
      しみき 2018/7/4
      zawato 2018/7/2
      27 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが 質量分析屋のネタ帳 を参照しています。)
      登録ユーザ: 0 ゲスト: 27
      BioQuick ニュース

      BioQuick Newsは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中の生命科学関連のニュース・トピックスをタイムリーにお届けします。BioQuick Newsは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
      BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill.

      抗体よもやま話
      創薬よ何処へ
      アクセスカウンター
      DATEVisits/PVs
      2018/07/23:449/2768
      2018/07/22:572/7059

       

      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
      バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。