バイオ研究者向けLC-MS講座 「質量分解能と分子の質量・分子量の関係」 - 質量分析屋のネタ帳

質量分解能と分子の質量・分子量の関係


トップ  >  質量分解能と分子の質量・分子量の関係

  著者:  作成:2016/7/21 17:00:48

こんにちは! 質量分析屋の高橋です。前回、マススペクトルから得られるのは、基本的には分子の質量情報であって分子量情報ではないことを解説しました。今回は、マススペクトルから分子量情報が得られる場合もあることを、質量分解能(mass resolving power)との関係において解説します。


質量分析計(MS装置)の最も重要な性能の一つが“質量分解能”です。質量分解能は、日本質量分析学会のマススペクトロメトリー関係用語集1)では、以下のように定義されています。


“ある特定の質量分解度(mass resolution)の値を得ることができる質量分析計の能力” また、質量分解度は以下のように定義されています。 “あるマススペクトルについて、観測されたピークのm/zの値を、スペクトル上でこのピークと分離されて観測される(仮想的な)ピークのm/z値との差の最小値Δ(m/z)で割った値;(m/z)/ Δ(m/z)


質量分解能および質量分解度を表示する際は、その値を求めるのに用いたm/zの計測値と、Δ(m/z)の決め方を示す必要があります。Δ(m/z)は通常、ピークの高さに対する一定の割合の高さで求めたピーク幅とし、その際のピークの高さに対...

 

続きを読む
ログインしてください

    この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
    このエントリーをはてなブックマークに追加

    « 窒素ルールについて
    MSで得られる質量情報について »



    友達にメールで勧める友達に伝える

    投票数:44平均点:5.23

    おすすめ製品・サービス

    SKi Pro System LC/MS接続可能な生体分子間相互作用解析装置
    質量分析装置とのインテグレーションにより相互作用分子の同定をも可能にする画期的な生体分子相互作用解析システムSilicon Kinetics社の開発したSKi Pro Systemは、LC/MS(質量分析計)に接続できる生体分子間相互作用解析装置です。 アフィニティの弱い低分子からアフィニティの強い抗体まで幅広いアフィニティレンジを網羅的に解析することが可能です。SKi Pro Systemは、通常の表面プラズモン共鳴(SPR)法で用いられる平坦な表面のセンサーとは異なり、三次元構造のナノポアを有するシリコンチップ(3Dシリコンセンサーチップ)により、従来のSPR法より100倍以上広い分子結合面積を創り出すことに成功しました。またNanoPore Optical Interferometry(干渉分光法)を用いることで、ベースラインドリフトが僅か0.35RU/hと従来のSPR法に比べ極めて安定 ...
    Xevo TQ-XS 超高感度タンデム四重極型質量分析計
    生体試料中薬物濃度分析、高分子医薬品の定量で、更なる高感度を実現Xevo TQ-XSには、更なる高感度分析のために、最適化された様々なテクノロジーが搭載されており、より高感度が必要とされるバイオ医薬品やADC(抗体薬物複合体)の定量分析で、信頼性の高い結果を得ていただけます。
    iKnifeサンプリング機能搭載REIMS研究システム
    食品偽装、微生物学、組織学など、サンプルの素材・差異をダイレクトイオン化精密質量分析で瞬時に判断 iKnifeサンプリング機能搭載REIMS研究システムは高性能飛行時間型(Tof)質量分析計と強力で直感的なソフトウェア、ダイレクトイオン化を組み合わせることで、前処理が不要で迅速かつ容易な分子プロファイリングを可能としました。 この革新的な iKnife はハンドヘルドサンプリング装置で、情報を豊富に含んだ蒸気をサンプルの表面から直接生成します。この蒸気が飛行時間型質量分析計により分析され、数秒で正確な分子プロファイリングが得られます。
    • 自己紹介
      はじめまして。質量分析屋こと、エムエス・ソリューションズの髙橋 豊です。このコーナーで、バイオ研究者向けの LC-MS に関する話題を提供していくことになりました。 私が 質量分析 ( mass sp…続きを読む (2016-4-19)  
    • 質量分析計におけるキャリブレーションの重要性
      こんにちは。質量分析屋の高橋です! 初回は、 質量分析計 (MS装置)における キャリブレーション の話です。 MS装置の キャリブレーション とは、MSで得られるマススペクトルの横軸…続きを読む (2016-5-18)  
    • マススペクトルから何がわかる?
      マススペクトルは質量分析によって得られる最も基本的なデータであり、縦軸を信号強度、横軸を m/z で表した二次元表示です( mとz はそれぞれイタリック体で表記)。 ここで、 m はイオンの質量…続きを読む (2016-6-1)  
    • m/z とは?
      こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。 第一回目、第二回目共に、マススペクトルの横軸である m/z について触れています。今回は、このことについて、もう少し掘り下げて考えてみます。 日本質量分析…続きを読む (2016-6-15)  
    • MSで得られる質量情報について
      こんにちは。質量分析屋の高橋です。二回目の「マススペクトルから何がわかる?」で、“質量分析では分子の質量情報が得られる”と書きました。 “質量分析で得られるのは分子量情報ではないのか?”と思われ…続きを読む (2016-7-6)  

    おすすめ製品・サービス

    BD Rhapsody シングルセル解析システム
    数万のシングルセルに対し数百の遺伝子を同時解析BD社のBD Genomicsグループは、独自のMolecular Indexingテクノロジーを基本に、シングルセル解析システム " Rhapsody "を開発しました。このシングルセル解析システムは、数万のシングルセルをキャプチャーし、数百に上る標的遺伝子に対して個々の発現をデジタル定量化することが可能です。分離されたシングルセルのQC ( シングルセルである事の確認や、生細胞と死細胞の区別 )を行い、Molecular Indexing技術により、低コスト・高効率・高精度・高スループットでNGS解析用ライブラリーを作成します。しかも、ライブラリーは数百もの標的遺伝子に絞っているため、シーケンスコストも大幅に削減できます。 
    Enzymatics 5x WGS
    全てを1本のチューブで行う、シンプルかつ迅速なワークフローを実現 Enzymatics社の5x WGS (Whole Genome Sequencing; 全ゲノムシーケンス) ライブラリ調製アッセイでは、次世代シーケンス用ライブラリ調製の全ての工程 (断片化を含む) を1本のチューブで行うことができます。 自在にサイズ調節可能な酵素ベースの断片化と、シンプルで迅速なワークフローにより、Illumina社の次世代シーケンサーで直ちにシーケンス可能な高品質ライブラリを2.5時間以内に調製できます。 高効率な断片化とライゲーション試薬、さらに最適化されたPCR試薬を組み合わせることで*、5x WGSライブラリ調製アッセイは、 次世代シーケンス用ライブラリ調製における品質、スピードおよび処理能力という課題に対する唯一の解決策となり得ます。 *PCRフリーも可能です
    フルスペクトル分子イメージング
    MALDI、DESI、イオンモビリティー、高分解能質量分析を融合した高精度・高空間分解能分子イメージング 生理学と細胞機能をより理解し、組織または生体全体における薬剤の分布をモニター、可視化する目的で、ウォーターズでは、MALDI、DESI、イオンモビリティー、高分解能質量分析の技術の長所を融合しました。 空間分解能に優れ、質量分析イメージングとして実績の高いマトリックス支援レーザー脱離イオン化によるMALDIイメージング。マトリックスの塗布が不要で、同一のサンプルを異なる空間分解能や異なる極性で複数回測定が可能な脱離エレクトロスプレーイオン化によるDESIイメージング。 さらに独自のイオンモビリティー分離により選択性、同定信頼性を向上させる質量分析計と、質量分析イメージングのワークフローをすべて ...
    運営会社:バイオアソシエイツ株式会社

    バイオマーケットjpは、ライフサイエンス研究者・バイオビジネス関係者のための会員制サイトです。

    ユーザー登録すると...

    コンテンツの全文表示・コメント投稿・各種お申し込み・ダウンロード等、

    様々なユーザー専用機能をご利用いただくことができます。

     

    ユーザー登録は1分で完了

    ユーザー登録は無料

    運営者:バイオアソシエイツ株式会社

    質量分析屋のネタ帳
    • 髙橋 豊
      質量分析に関する技術コンサルティングを提供するエムエス・ソリューションズ株式会社 髙橋 豊 氏によるLC-MS講座です。 バイオ研究者向けにLC-MSに関する様々な話題やLC-MSの操作で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。

    にほんブログ村 科学ブログ 生命科学へ
      登録ユーザー数
      3102人
      2018年12月14日 現在
      新メンバー
      劉備男爵 2018/12/9
      Okila 2018/12/8
      kei_miso 2018/12/5
      masao 2018/12/5
      kantenze 2018/12/3
      ishimas 2018/11/29
      zakiza 2018/11/29
      みんみんずく 2018/11/27
      20 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが 質量分析屋のネタ帳 を参照しています。)
      登録ユーザ: 0 ゲスト: 20
      BioQuick ニュース

      BioQuick Newsは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中の生命科学関連のニュース・トピックスをタイムリーにお届けします。BioQuick Newsは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
      BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill.

      抗体よもやま話
      創薬よ何処へ

       

      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
      バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。