
マススペクトルは質量分析によって得られる最も基本的なデータであり、縦軸を信号強度、横軸をm/zで表した二次元表示です(mとzはそれぞれイタリック体で表記)。
ここで、mはイオンの質量を統一原子質量で割った値、zはイオンの電荷数を表しています。 図1と2に、異なる化合物を異なる条件で測定したマススペクトルを示します。
マススペクトルには、大きく分けて①分子構造を保持したイオンと、②分子構造の中の結合が開裂して生成したフラグメントイオン、の二種類のイオンが観測されます。 分子構造を保持したイオンは、例えば正(+)イオン検出条件においては、分子から電子が取れる、分子にプロトン(H+)やナトリウムイオン(Na+)が付加する、などによって生成します。
分子から電子が1つ取れて生成するイオンを分子イオン(M+・)、分子にプロトンが付加したイオンをプロトン付加分子([M+H]+)、分子にナトリウムイ...