5月 24, 2021

こんなワクチン接種法はいかがかしら

2021年の初夏、100年前を振り返ってみると、どんなに医療技術が進歩していようが、そう簡単には収まらないでしょう。つい先日、私のところへも保健所から「新型コロナウイルスワクチン接種クーポン券」なるものが送られてきました。 開封せずに放置していると女房が、「なぜ開けぬ?」→ 私「受けるつもりないので」→ 女房「皆、はやくしたいと言ってるのにもったいない」→…
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2月 17, 2021

感作していないライブラリーからはろくな抗体がとれないわけ 1

血清中の抗体は抗原分子を結合していないはずです。 いや、『抗原分子をゆるく結合しうる』と表現したほうが正確でしょう。 それも、多様な抗原と弱く結合する分子の混合物です。 したがって、抗原と接しても凝集したりせず、通常は血中で悪さをしないと考えられます。このような個体から抗体遺伝子を採取し、可変領域のライブラリーを作ったとします。…
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2月 13, 2021

感作していないライブラリーからはろくな抗体がとれないわけ 2

血清中の抗体は抗原分子を結合していないはずです。 いや、『抗原分子をゆるく結合しうる』と表現したほうが正確でしょう。 それも、多様な抗原と弱く結合する分子の混合物です。 したがって、抗原と接しても凝集したりせず、通常は血中で悪さをしないと考えられます。このような個体から抗体遺伝子を採取し、可変領域のライブラリーを作ったとします。…
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11月 24, 2020

コロナワクチン打つのはちょっと待った!(あくまでも私見です)

2020年の晩秋から初冬、一年前には全く予想していなかったことですが、人々の思考領域は極度に偏っています。私も、抗体に関わるおもしろそうな話題を考えようと努力をしているのですが、どうしても同じところに行きついてしまいます。 ちょうど今、 COVID-19…
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3月 05, 2020

誰でもできるウイルス感染防御

2020年3月は、文科省管轄下の学校が臨時休校になる騒ぎではじまりました。 このウイルス、ゲノム配列を見てもいまひとつわからないところが多いです。ORFに基づくワクチン設計は既に進めているようですから、そのうち有効なものが出てくると思います。ウイルス感染と抗体に関しては、それほど意外性のあるネタを持ち合わせてないので、今回は番外編です。…
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5月 29, 2019

抗体づくりのトラブル談 その2. 精製したら抗体が消えた!?

抗ペプチド抗体を作ったときは通常、調製した抗血清をカラムにかけて目的の抗体(igG)を精製します。一般的には、抗原に用いたペプチド、あるいは関連ペプチドをアガロースやセルロースのビーズに固定化して、アフィニティーカラムを準備します。…
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2月 21, 2019

非常識からの発見

私が抗ペプチド抗体をはじめたきっかけは、以前に書いた通り、ペプチド合成機に出会ったからです。1980年代後半のことでした。東京大学医科学研究所の三号館地下の一室に鎮座していたアプライドバイオシステムズ社(当時の社名)の430A は名機でした。 当時はまだまだ普及していなかった 新しいケミストリー(…
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2月 13, 2018

抗体づくりのトラブル談 その1.C末端配列が!

実験には失敗がつきものです。なぜかというと、研究を推し進めるための実験は、ひとつひとつの実験結果をどう解釈し、次の実験をどのように計画するかによって、真実に近づくための手段となるか、道を踏み外して結局は無駄になってしまうか分かり得ないからです。…
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10月 31, 2017

リン酸化部位特異抗体はやや難しい

たんぱく質のリン酸化は、数ある翻訳後修飾の中でも可逆的な反応の一つで、細胞内外の環境に呼応して起こるので、生体の情報伝達に関わる現象として研究されてきました。リン酸化されるアミノ酸残基は、主としてセリン(Ser; S)、トレオニン(Thr; T)およびチロシン(Tyr;…
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7月 11, 2017

生きている樹木ってすごいよ。

曽て在職中に駒場キャンパスにある大学院を兼担していたことがありました。文系と理系が融合した総合文化研究科という大学院で、その中に生命環境科学系というグループがありました。 植物を対象に研究されている先生が何人もおられて、学位審査などの集まりでは新鮮味のある話題に学ぶところがたくさんありました。「環境」というキーワードも魅力的です。…
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2月 08, 2017

抗体ロボティクス

私がまだ在職中、遠心機メーカーで技術を担当されていたかたが来られて、退職してロボットを受託して作る仕事をはじめたとのこと、そのときは漠然と「個別作業に特化した自動装置なんだ。それは良いな」と思ったものですが、いま改めて考えると、スモールビジネスとしては素晴らしいことと感心します。いまはどうされているでしょうか。バイオ研究の世界にも実験スタイルに変遷があります…
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12月 16, 2016

抗体プロテオミクスの提案、その1、末梢血中の抗体のターゲットをタイピングしてみませんか?

2016年冬のプロテオミクス界の話題によると、1200種以上の代謝系酵素の発現量を定量解析する受託サービスがスタートするようです。Wmの憂鬱、やっとシステム生物学が動き出す(出典:日経バイオテクONLINE)リンクを辿ると4年ほど遡りました。ということは、バイオビジネスとして完成させるのに4年かかったということです。…
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10月 27, 2016

酵母をはじめとする様々な生物はバイオ研究の宝庫

2016年10月、ノーベル生理学・医学賞は大隅良典博士に決定しました。最初に申し上げておきますが、大隅先生とは抗体に関わる接点はないです。1 979年、私は今堀和友教授に修士課程の大学院生として弟子入りしました。…
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8月 26, 2016

イムノブロットあれこれ、その 1、大量に電気泳動すればいいってもんじゃない

電気泳動で分離した生体高分子をニトロセルロース、ナイロン、テフロンなどを担体とする膜に転写することをブロッティングと呼びますが、たんぱく質の転写にはウエスタンブロッティングという通称があります。たんぱく質の電気泳動は、ポリアクリルアミドを支持体とするゲルでおこなうことが多く、転写も電気的に移すエレクトロブロッティングになります。…
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7月 14, 2016

抗体・抗血清の保存方法について

目的の抗体をうまく作れたけれど当面の実験には十分すぎるほどの量で、これをどう保存したら良いか、これは贅沢な悩みかもしれません。モノクローナル抗体の場合は、抗体産生細胞を凍結保存して液体窒素下に保存すれば、必要なときに細胞を起こして抗体を得られます。…
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6月 09, 2016

いまさらですが抗ペプチド抗体入門

抗体は、抗原を動物に免疫し一定期間の後に出現する抗体産生細胞(Bリンパ球)を単離して不死化するか、免疫動物の末梢血に分泌された抗体を抗血清として回収して得られます。前者がモノクローナル抗体、そして後者がポリクローナル抗体で、抗血清からアフィニティー精製などによって抗体分子を純化して実験等に使います。…
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5月 12, 2016

抗 DNP 抗体の活用法

皆さんタグの抗体は実験でお使いかもしれません。His タグ、FRAG タグなど、タグの配列を組換えたんぱく質に入れ込んでおくと、遺伝子導入したたんぱく質を抗体で高感度に検出できるという便利なツールです。 今回は、ペプチドの化学合成でタグとして ジニトロフェニル(DNP)基を導入する方法と抗 DNP 抗体の活用についてです。DNP…
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4月 12, 2016

低分子物質の抗体をつくるときは

抗原性はあるが免疫原性をもたない低分子物質をハプテンといいます。なるべく多くの人に読んでもらいたい文章を書こうとするとき、このような導入法は NG…
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3月 08, 2016

ELISAの定量性について

私が酵素抗体法(ELISA, Enzyme-Linked Immunosorbent Assay) と出会ったのは大学院博士課程に在学していた1970年代後半の頃でした。 本郷キャンパスの医学部生化学教室には、附属病院から学位取得のために研究をしに訪れるお医者さんが何人かいて、木村吉雄先生もその一人でした。…
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3月 07, 2016

ELISA だけに頼ると失敗するかも

新しく抗体を作るときに、目的の抗体ができているか見極める評価法をどのようにされますか。一般的には、免疫原として利用した抗原とは異なった材料を評価に用いるのがよろしいです。…
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2月 03, 2016

たんぱく質の骨

通勤や仕事で外出する際にはカバンをお持ちになることが多いかと思います。好みにも依りますが、ゆったりした大きめのカバンで中身が少ないときは自立しなくてヘナヘナと倒れてしまうことがありますね。そういうときに「カバンの骨」があると良いようです。ご自分で工夫されている方もおられるかもしれませんが、実際に売ってるのを知りました。…
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1月 18, 2016

ポリクローナル抗体のエピトープ解析

ポリクローナル抗体は、幾つものモノクローナル抗体が混ぜ合わさったものですから、わざわざエピトープマッピングをする意味がありません。しかし、抗血清をあえてエピトープ解析すると面白い結果が得られます。抗ユビキチン抗体の例を紹介しましょう。…
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12月 16, 2015

エピトープマッピング

大きなたんぱく質に対してモノクローナル抗体を作成したときは、その抗体が抗原のどの部分に結合するかを知りたいものです。抗体が結合する抗原の部分構造を抗原決定基あるいはエピトープといいます。たんぱく質(ポリペプチド鎖)が抗原となった場合、エピトープの大きさは数アミノ酸残基ほどとも言われています。…
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11月 11, 2015

膜貫通たんぱく質に対する抗体づくり

細胞の形質膜を一回だけ貫通して細胞表面に表現されるたんぱく質に対する抗体を考えてみましょう。がん細胞などでこのようなたんぱく質が特異的に発現していると、良い腫瘍マーカーになることが期待されます。抗体作成には免疫原に用いる抗原が必要ですが、膜たんぱく質の遺伝子がわかっているときは、組換えたんぱく質を大腸菌などで発現させて免疫原を調製するか、遺伝子の配列に基づい…
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10月 15, 2015

阻害剤の抗体で副作用追跡を

2015年のノーベル生理学・医学賞は皆さんにとってサプライズでしたか。 私はこういう評価も当然ありと考えます。前評判が高いトレンディな研究よりも、地道に長年かけて積み上げた研究成果は、いずれはいろいろな意味で芽を吹き始め、科学にとって大きな財産でもあります。 大村智先生とはじめてお会いしたのは1995年の秋だったと記憶しています。…
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10月 01, 2015

CD 抗原 

細胞を扱って実験されたことがあるかたは CD 抗原になじみがおありかもしれません。CD は cluster of differentiation のことで、白血球の細胞表面抗原を「CD」の後ろに番号をつけて示しています。…
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9月 24, 2015

イムノブロットのバンドを質量分析計で同定したい

標的とする抗原が未同定のモノクローナル抗体をもっている研究者から以下のような相談がありました。「がん細胞に高発現している抗原に対するモノクローナル抗体をもっています。がん細胞の全たんぱく質を SDS-PAGE で分離しイムノブロットをおこなうと分子量が60K…
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9月 07, 2015

抗体のパクリはありうるか

このごろ商標デザインをはじめ各分野での盗用を耳にします。少し前には研究のスキャンダルが一般社会へ漏れ出て大騒ぎになりましたね。ここでは、抗体は知的財産として確立するか、いいかえれば抗体を盗作してはいけないかという話を簡単に解説します。なお、私は法律の専門家ではないので、つきつめたところの判断はできません。…
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8月 31, 2015

良い抗体

研究論文に記載されている抗体は良い抗体だと思いますか? なぜこんな質問をしたかというと、手持ちの抗体を売ってもらう場合、論文を引用できることが必須条件だそうです。 もちろん、発表論文を見ればどんな抗体であるかわかるので、わざわざ効能書きを用意する必要がないです。…
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8月 24, 2015

「固定」ということば

実験操作の「固定」についてです。「固定(fixation)」はもともと、顕微鏡観察用の標本を作成する際に形態を保持するために加熱、凍結、薬品などで処理することをいいます。この過程でたんぱく質は変性・不溶化することが多いです。 抗体を用いた顕微鏡観察やフローサイトメトリーでは、サンプルの固定が必要になることがあります。…
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8月 17, 2015

抗体の実験操作、温度設定は?

今夏2015の暑さは異常と言ってもいいほどで外を歩くのが怖かったですね。猛暑日にエンジニアが駆け込む場所はサーバールームという記事を見て大学在職時の実験室を思い出しました。大きなフロアには低温室があって真夏に出勤したときはまっすぐここに駆け込んで涼んだものです。…
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8月 10, 2015

抗ペプチド抗体について

たんぱく質に対する抗体を作るときは、免疫原としてそのたんぱく質が必要です。以前は、たんぱく質を精製・純化しましたが、遺伝子が単離されているときはリコンビナントたんぱく質を用いることが多くなりました。そして1990年代に入ってペプチド合成の技術が普及しはじめると、たんぱく質の一部分を化学合成して免疫原に使う抗ペプチド抗体も選択肢のひとつに加わりました。…
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8月 03, 2015

モノクローナル抗体の特長について

モノクローナル抗体の作成技術は、Köhler と Milstein によって1975年に報告された画期的方法です。抗体産生細胞であるBリンパ球を腫瘍細胞と融合させて不死化することにより、単一の抗原決定基に対する抗体をつくる細胞をクローン化して増殖させることができます。…
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7月 27, 2015

一本鎖抗体は是か非か

分子生物学的技法をもっていて様々な抗体をつくりたいと思うとどうしてもここへ行き着くようです。一本鎖抗体(scFv, single chain Fv)は、抗原との結合に必要な抗体遺伝子の部分(重鎖と軽鎖の可変領域、それぞれ VH と VL)をリンカーを介して繋げた断片としファージに組み込んだものです。 通常は、抗体産生細胞である B…
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7月 17, 2015

素朴な疑問

抗体って教科書や辞典で調べると例外なく、外来抗原に対して産生される抗原結合たんぱく質というように説明があります。それでは、血液中に存在する抗体=免疫グロブリンは何に結合するのでしょうか。血漿たんぱく質でもっとも多いのはアルブミンですが、免疫グロブリン(抗体)もその数分の一は普通に存在しています。 試薬メーカーのカタログで「ノーマル…
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7月 14, 2015

自己紹介

はじめまして、大海 忍(おおうみしのぶ)です。抗体にかかわる話題を提供することになりました。私がはじめて抗体を意識したのは1970年代後半で大学院生の頃です。研究テーマの対象が原核生物だったせいか、高等動物の複雑なしくみを何となく避けていたようにも思えます。…
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