抗原性はあるが免疫原性をもたない低分子物質をハプテンといいます。なるべく多くの人に読んでもらいたい文章を書こうとするとき、このような導入法は NG ですね。冒頭の一文にある専門用語のうち一つでも理解しがたい言葉があったときは、続けて先を読む気がちょっと失せ、2つ以上あれば中断します。数多ある書物の中、ごくわずかのベストセラーが存在するのは、内容、書き方、それから世に出るタイミングが合致したときなのかなとつくづく感じます。 

検出用抗体は先の抗体とは別の動物で作った抗体でなければなりません。例えば、プレートに固定化する抗体がマウスで作ったモノクローナル抗体ならば、検出用抗体はウサギで作った別のエピトープに対するポリクローナル抗体といった組み合わせです。標識酵素は、検出用抗体に直接つけても二次抗体として用いる抗ウサギ IgG 抗体につけても良いです。標識二次抗体は多数市販されていますので選べます。

新しく抗体を作るときに、目的の抗体ができているか見極める評価法をどのようにされますか。一般的には、免疫原として利用した抗原とは異なった材料を評価に用いるのがよろしいです。 

通勤や仕事で外出する際にはカバンをお持ちになることが多いかと思います。好みにも依りますが、ゆったりした大きめのカバンで中身が少ないときは自立しなくてヘナヘナと倒れてしまうことがありますね。そういうときに「カバンの骨」があると良いようです。ご自分で工夫されている方もおられるかもしれませんが、実際に売ってるのを知りました。 

ポリクローナル抗体は、幾つものモノクローナル抗体が混ぜ合わさったものですから、わざわざエピトープマッピングをする意味がありません。しかし、抗血清をあえてエピトープ解析すると面白い結果が得られます。抗ユビキチン抗体の例を紹介しましょう。 

大きなたんぱく質に対してモノクローナル抗体を作成したときは、その抗体が抗原のどの部分に結合するかを知りたいものです。抗体が結合する抗原の部分構造を抗原決定基あるいはエピトープといいます。たんぱく質(ポリペプチド鎖)が抗原となった場合、エピトープの大きさは数アミノ酸残基ほどとも言われています。 

細胞の形質膜を一回だけ貫通して細胞表面に表現されるたんぱく質に対する抗体を考えてみましょう。がん細胞などでこのようなたんぱく質が特異的に発現していると、良い腫瘍マーカーになることが期待されます。抗体作成には免疫原に用いる抗原が必要ですが、膜たんぱく質の遺伝子がわかっているときは、組換えたんぱく質を大腸菌などで発現させて免疫原を調製するか、遺伝子の配列に基づいてペプチドを化学合成することになります。 

2015年のノーベル生理学・医学賞は皆さんにとってサプライズでしたか。 私はこういう評価も当然ありと考えます。前評判が高いトレンディな研究よりも、地道に長年かけて積み上げた研究成果は、いずれはいろいろな意味で芽を吹き始め、科学にとって大きな財産でもあります。 大村智先生とはじめてお会いしたのは1995年の秋だったと記憶しています。 

細胞を扱って実験されたことがあるかたは CD 抗原になじみがおありかもしれません。CD は cluster of differentiation のことで、白血球の細胞表面抗原を「CD」の後ろに番号をつけて示しています。 

標的とする抗原が未同定のモノクローナル抗体をもっている研究者から以下のような相談がありました。「がん細胞に高発現している抗原に対するモノクローナル抗体をもっています。がん細胞の全たんぱく質を SDS-PAGE で分離しイムノブロットをおこなうと分子量が60K あたりのバンドが染まります。抗体が結合するバンドを質量分析計などを利用して同定したいと考えています。 

このごろ商標デザインをはじめ各分野での盗用を耳にします。少し前には研究のスキャンダルが一般社会へ漏れ出て大騒ぎになりましたね。ここでは、抗体は知的財産として確立するか、いいかえれば抗体を盗作してはいけないかという話を簡単に解説します。なお、私は法律の専門家ではないので、つきつめたところの判断はできません。 

研究論文に記載されている抗体は良い抗体だと思いますか? なぜこんな質問をしたかというと、手持ちの抗体を売ってもらう場合、論文を引用できることが必須条件だそうです。 もちろん、発表論文を見ればどんな抗体であるかわかるので、わざわざ効能書きを用意する必要がないです。

実験操作の「固定」についてです。「固定(fixation)」はもともと、顕微鏡観察用の標本を作成する際に形態を保持するために加熱、凍結、薬品などで処理することをいいます。この過程でたんぱく質は変性・不溶化することが多いです。  抗体を用いた顕微鏡観察やフローサイトメトリーでは、サンプルの固定が必要になることがあります。 

今夏2015の暑さは異常と言ってもいいほどで外を歩くのが怖かったですね。猛暑日にエンジニアが駆け込む場所はサーバールームという記事を見て大学在職時の実験室を思い出しました。大きなフロアには低温室があって真夏に出勤したときはまっすぐここに駆け込んで涼んだものです。 

たんぱく質に対する抗体を作るときは、免疫原としてそのたんぱく質が必要です。以前は、たんぱく質を精製・純化しましたが、遺伝子が単離されているときはリコンビナントたんぱく質を用いることが多くなりました。そして1990年代に入ってペプチド合成の技術が普及しはじめると、たんぱく質の一部分を化学合成して免疫原に使う抗ペプチド抗体も選択肢のひとつに加わりました。 

モノクローナル抗体の作成技術は、Köhler と Milstein によって1975年に報告された画期的方法です。抗体産生細胞であるBリンパ球を腫瘍細胞と融合させて不死化することにより、単一の抗原決定基に対する抗体をつくる細胞をクローン化して増殖させることができます。 免疫動物の抗血清から調製したポリクローナル抗体と比較したときのモノクローナル抗体の特長を辞典で調べて列記してみました。

分子生物学的技法をもっていて様々な抗体をつくりたいと思うとどうしてもここへ行き着くようです。一本鎖抗体(scFv, single chain Fv)は、抗原との結合に必要な抗体遺伝子の部分(重鎖と軽鎖の可変領域、それぞれ VH と VL)をリンカーを介して繋げた断片としファージに組み込んだものです。 

抗体って教科書や辞典で調べると例外なく、外来抗原に対して産生される抗原結合たんぱく質というように説明があります。それでは、血液中に存在する抗体=免疫グロブリンは何に結合するのでしょうか。血漿たんぱく質でもっとも多いのはアルブミンですが、免疫グロブリン(抗体)もその数分の一は普通に存在しています。 

はじめまして、大海 忍(おおうみしのぶ)です。抗体にかかわる話題を提供することになりました。私がはじめて抗体を意識したのは1970年代後半で大学院生の頃です。研究テーマの対象が原核生物だったせいか、高等動物の複雑なしくみを何となく避けていたようにも思えます。 

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