創薬研究の課題とトレンドを語るコラム 「薬は人体に対しては異物であり、また常に活性と毒性(副作用)の両方を持つ」 - 創薬よ何処へ

薬は人体に対しては異物であり、また常に活性と毒性(副作用)の両方を持つ


トップ  >  薬は人体に対しては異物であり、また常に活性と毒性(副作用)の両方を持つ

  著者:  作成:2017/7/4 11:00:43

中山 登 どの様な薬でも人体では異物と判断し、必ず体外に排除する代謝機能が働きます。また抗体などの高分子化合物や免疫製剤などは体内防御機構が働き、抗原抗体反応や自己免疫疾患のような拒絶反応を引き起こした場合、異物と認識されて化合物は一切薬にすることが出来ません。この代謝機能と防御機構には個人差があります。

更に、全ての薬は常に薬物活性と副作用・毒性の両面を持っており、活性を高めて副作用・毒性を最小限に抑えるために薬物の体内動態を検討することが必要です。そして、この活性と副作用・毒性の出方にも個人差が有ります。
創薬初期の段階で見つかった活性の高い創薬候補化合物には、動物や人に投与することが難しい化合物が非常に多いことは私がRoche時代に行った天然物のScreeningのところで問題点として少し書きました。特に、近年のHT-Screeningで行われている、低分子や中分子化合物のプロテインとリガンドのバインディングやプロテイン-プロテイン相互作用をみるAssay系では、脂溶性の高い化合物ほどプロテインとの相性が良く活性が高くなる傾向がみられます。そのため、これらの化合物は体内動態が非常に悪くそのままでは動物に投与することが...

 

続きを読む
ログインしてください

    この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
    このエントリーをはてなブックマークに追加

    « 低分子・中分子創薬の新しい考え方であるAntibody-drug conjugate(ADC)製剤
    創薬リード化合物の探索(Screening) »



    友達にメールで勧める友達に伝える

    投票数:12平均点:5.00

    おすすめ製品・サービス

    Xevo G2-XS QTof四重極飛行時間型(QTof)質量分析計
    高性能ベンチトップ型QTof質量分析計により糖タンパク質をすべての構造レベルで解析! 高性能ベンチトップ型QTof質量分析計 Xevo G2-XS QTofをRapiFluor-MS標識試薬と組み合わせることで、前例のない MS および MS/MS 感度を実現し、微量の糖鎖成分までを容易に、より高い信頼性で同定します。 さらに、糖タンパク質プロファイリング、サブユニット解析、糖ペプチドマッピングと組み合わせることで糖タンパク質をすべての構造レベルで解析する総合的なソリューションを実現します。
    iRepertoire TCR/BCRレパートリー プライマーセット:次世代シーケンサーによる網羅的シーケンス解析
    次世代シーケンシングによる免疫レパートリーの配列決定 次世代シーケンシングは、免疫レパートリーのV領域(またはV(D)J配列)をパラレルに数百万の塩基配列決定を可能にしますが、次世代シーケンサーの多くは配列のread-lengthに限界があります。 そこでiRepertoire社では、様々なread-lengthに対応したヒト・マウス免疫細胞のCDR3領域をカバーするマルチプレックスPCRプライマーセットを供給しています。
    iCubate 自動DNAサンプル調製システム:特許マルチプレックスPCRでPCRバイアスを排除。完全密封型カセットでコンタミ防止。
    特許のマルチプレックスPCR (arm-PCR)テクノロジーによるPCRバイアスを排除したDNAサンプル調製。 icubate社の自動DNAサンプル調製システムは、核酸抽出〜マルチプレックスPCR (arm-PCR)〜マイクロアレー・ハイブリダイゼーションの全工程を約3時間で自動処理可能です。 マルチプレックスPCR後の生成物は簡単に回収可能なのでNGS用ライブラリー調製にも最適です。
    • はじめまして。中山登です。
      はじめまして。バイオシス・テクノロジーズの中山登です。 もう中外製薬を退職して2年以上になりますが、未だに「ロシュ・中外の中山さん」とよく言われ、こちらの元の所属の方が皆さん良くご存知のようです。さて…続きを読む (2016-10-12)  
    • 創薬よ何処へ
      日本ロシュから鎌倉研究所に日本電子の質量分析装置のD-300が納入されるのでその日から出社して欲しいと連絡があり、昭和56年6月にD-300と一緒に入社することになりました。ただ、念願だったFABイ…続きを読む (2016-11-9)  
    • 医薬品開発の現状と個別化医療とは
      それでは、本題の「創薬よ何処へ」に入りましょう。そこで初めは創薬研究現状と個別化医療などについて少し考えてみたいと思います。 近年創薬の分野は、以前から行われてきた低分子医薬、1990年後半から盛ん…続きを読む (2016-11-24)  
    • 臨床現場と医薬品開発との間の大きな谷をどうするか?
      前回述べたように現症診断にまだ多くを頼っている臨床の現場と、ゲノムから解析されたバイオメカニズムを用いターゲットを予想して科学的に開発された医薬品の間に、まだまだ大きな谷があって、そこを科学的に結び…続きを読む (2016-12-7)  
    • 動的ネットワークバイオシステム
      東京大学生産技術研究所の会原幸一先生らは臨床バイオマーカーで正常(健康)状態と異常(疾病)状態の違いを定量的に示すことができるため、癌、心臓病、糖尿病などの診断において広く使われていますが、従来の静…続きを読む (2017-1-12)  
    • 探索的プロテインープロテイン相互作用の解明
      標的疾患の臨床試料から抽出される「動的ネットワーク」を構成するタンパク質群に対する薬剤などのキネティックスが解析されれば、一気に疾患メカニズムと治療標的、候補薬剤の同定に迫ることが可能となります。 …続きを読む (2017-1-25)  
    • 創薬ターゲット(標的)の探索とは
      疾患の動的ネットワークのプロテインープロテイン相互作用のシステム、すなわち、それぞれの疾患における臨床バイオマーカーの解明し、更にゲノムの情報や臨床検査に用いられている項目の値などを取り入れ、IT技…続きを読む (2017-3-8)  
    • 創薬リード化合物の探索(Screening)
      ターゲットバリデーションより見つけられた創薬標的プロテインを用いて創薬リード化合物の探索(Screening)を行います。その場合低分子医薬か、抗体医薬か、プロテイン-プロテインインターラクション(…続きを読む (2017-5-10)  
    •   »  薬は人体に対しては異物であり、また常に活性と毒性(副作用)の両方を持つ(2017-7-4)

    • 低分子・中分子創薬の新しい考え方であるAntibody-drug conjugate(ADC)製剤
      前回の最後で、次回は低分子・中分子創薬の今までの考えを変えるかも知れないAntibody-drug conjugate(ADC)製剤に関して説明しますと言って、その後中断して失礼いたしました。 …続きを読む (2017-10-12)  
    • 個別化医療と創薬(1)
        久しぶりですが、皆様良いお年をお迎え頂けたでしょうか?  今回は個別化医療と創薬に焦点を絞って話したいと思います。   病気の原因や病態について近年遺伝子やプ…続きを読む (2018-1-31)  
    • 個別化医療と創薬(2)
      今回は最近盛んになっている抗体や免疫製剤における診断マーカーの重要性について話したいと思います。 例えば夢の抗がん剤と言われた癌免疫治療薬のオブジーボでも、効果のある患者は2~3割であるが、診断…続きを読む (2018-2-15)  

    おすすめ製品・サービス

    マクロファージ免疫賦活能の評価/機能性食品等の研究開発支援(マクロファージ活性化能 受託評価試験サービス)
    機能性食品素材成分等の免疫賦活作用に関するエビデンスデータ取得を支援するマクロファージ受託評価試験サービスを提供しています。 これまでに自然免疫応用技研では様々な企業様から免疫活性化成分(βグルカン、乳酸菌、クロレラ等)の評価試験を受託した実績を有しています。
    Ab-Capcher 抗体精製アフィニティ磁気ビーズ
    大容量の抗体精製に使用できる優れた結合能 Ab-Capcher 抗体精製アフィニティ磁気ビーズは、特許の高結合・アルカリ耐性 rProtein A 誘導体を結合したアフィニティ磁気ビーズです。 従来製品の約5倍の結合能とアルカリ洗浄による再使用ができるため、従来のアフィニティ磁気ビーズでは困難だった多量の抗体精製を簡便に行うことができます。 ラット・マウスをはじめ幅広い生物種の抗体精製にご利用いただけます。
    ArcherDX FusionPlex融合遺伝子検出アッセイ
    次世代シーケンスによる融合遺伝子の検出 疾患関連融合遺伝子の数は増加の一途を辿り、その同定には次世代シーケンサー(NGS)を用いることが現実的になってきています。 しかし、一般的なライブラリ調製法では、偽陰性が生じる、大量のサンプルが必要、新規の融合を容易に検出できない、といった問題があります。 ArcherDX社では、NGS用試薬生産のノウハウに、斬新なターゲット増幅と世界レベルのシーケンス解析の技術を組み合わせ、Archerアッセイ、ワークフロー、解析プログラムを開発しました。 このアッセイは、独自のAnchored Mulitiplex PCR (AMP) を利用してターゲットエンリッチメントを行うことで、がんの発生や進行を司る様々な融合遺伝子やその他の遺伝子再構成を検出するためのライブラリを調製します。 Archer FusionPlexアッセ ...
    創薬よ何処へ:読者コメント
    フォーラム トピック 返信 閲覧 最終投稿
    運営会社:バイオアソシエイツ株式会社
    創薬よ何処へ
    • 中山 登
      株式会社バイオシス・テクノロジーズ 取締役&CTO(元・中外製薬株式会社研究本部化学部分析グループ長)中山 登 氏による創薬研究コラム

    にほんブログ村 病気ブログ 薬学へ
      登録ユーザー数
      2935人
      2018年02月25日 現在
      6 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが 創薬よ何処へ を参照しています。)
      登録ユーザ: 0 ゲスト: 6
      BioQuick ニュース

      BioQuick Newsは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中の生命科学関連のニュース・トピックスをタイムリーにお届けします。BioQuick Newsは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
      BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill.

      抗体よもやま話
      質量分析屋のネタ帳
      アクセスカウンター
      DATEVisits/PVs
      2018/02/25:229/1387
      2018/02/24:324/2605

       

      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
      バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。