バイオ研究コラムプロテオミクス研究は探索から機能解析へタンパク質同定法(2) - バイオマーケットjp

タンパク質同定法(2)

プロテオミクス バイオマーカー 質量分析 


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  著者:  作成:2010/1/11 17:15:01

質量分析によるタンパク質同定は、これまでのプロテインシークエンサーによる同定の世界を大きく変えることになった。例えば、プロテインシークエンサーでは1ピコモルのN末端ブロックタンパク質の配列を決定するために、これまでに多くの技術開発を行ってきた。質量分析ではそれほどの経験がなくてもフェムトモルレベルのタンパク質をN末端のブロックに関係なく同定することが可能である。質量分析によるタンパク質同定法は自動化・ハイスループット化が容易であることから、プロテオミクスの世界を拓くことになった。

質量分析による同定技術は、プロテインシークエンサーで開発確立された技術が基本となっている。特に、電気泳動で分離したタンパク質をゲル中でプロテアーゼ消化する方法(in-gel digestion)は、内部配列決定のために確立された手法である。今では質量分析を用いたプロテオミクスの世界で必須の技術となっている。

質量分析によるタンパク質同定では、プロテアーゼによるペプチド断片群の精密質量測定値の組み合わせとデータベース配列の断片化理論値との一致度を統計学的に判定する。断片の精密質量を利用したタンパク質同定は、MALDI-TOF MS によるペプチドマスフィンガープリント(PMF)と呼ばれる。

PMFは、測定質量が正確であるほどに組み合わせに使用するペプチド断片の数は少なくてよい。逆に、質量測定値の誤差が大きい場合は、ペプチド断片の数を多くすることでタンパク質同定の正確さを向上させることができる。少々乱暴な言い方ではあるが、利用できる質量分析装置の精度が少々悪くても、タンパク質の量を多くしたり、in-gel digestion の効率を上げることによって、利用できるペプチド断片の数を増やすことでタンパク質同定が可能になる。

MALDI-TOF MSは測定が比較的簡便で、オフラインで繰り返して測定できる気軽さがよい。装置の性能を最大限発揮すべく可能な限り精密な質量測定を心がけることで、より正確なタンパク質同定ができるとともに、より微量のタンパク質同定が可能となる。精密な質量測定のためには、安定した室温の管理や正確なキャリブレーションも必要な要素である。

 

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