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機能性食品開発:自然免疫賦活素材の評価と免疫食品の開発


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機能性食品開発:自然免疫賦活素材の評価と免疫食品の開発 はじめに:自然免疫が注目されている理由とは?

生物は40億年の長きにわたり生存してきたが、これを支えてきた、生まれながらに持つ、個体を守る機構がある。これが自然免疫である。さらに、約5億年前に出現した脊椎動物以降は、異物識別に関する遺伝子の再構成により、極めて微細な差異でも認識出来る異物受容体(T細胞受容体、抗体)製造機構を獲得し、それにより異物を特異的に認識し排除する獲得免疫(特異免疫)が出来た。獲得免疫は自然免疫から発達した機構であるが、我々の体に、初めて侵入する異物に対する排除機構は自然免疫が担っており、自然免疫から獲得免疫に情報が橋渡しされることで、獲得免疫が成立する。


脊椎動物の中でも、人間をはじめとするほ乳類は獲得免疫が高度に発達しており、優れた異物排除機構を持つ。しかし、その一方で、高度に複雑化した異物認識機構は、何らかの異常により、自己を異物として識別することがある。すなわち、自己免疫疾患や、獲得免疫系に存在する免疫のバランスが破綻して引き起こるアレルギー性疾患などは、これらを治すことは困難であり、現代でも難病であり多くの人が苦しんでいる。例えば、日本人の花粉症、アトピー性疾患などの疾病罹患者は約2000万人いると推定されている。

さて、皆さんも、調子のいいときには風邪をひかないが、調子が悪いと風邪をひく(インフルエンザに感染する)ということを体験していると思う。この調子がいいとは何を意味するのか定義は難しいが、これは自然免疫機構が機能的に働き、進入異物を効果的に排除していることと理解してみることが出来る。すなわち、自然免疫の機能がきちんと働いていればウイルスや細菌などの病原体の侵入を阻止し、癌細胞などの不要な異物化自己細胞を効率よく排除すれが、病気に罹りにくくなる。逆に、自然免疫の働きが弱まると病気になりやすくなる。もし、常に調子がいい状態(健康)が維持出来れば、ワクチンも要らない。そうすれば、抗生物質も要らない。そうなると、薬剤耐性菌の出現という社会問題も回避できる。

そうしてみると、多くの健康食品や、それに関連する事柄は、自然免疫で理解すると極めてわかりやすいのである。上述したアレルギー性疾患など、後の章で述べるが、自然免疫の制御により予防が十分可能なのである。しかしながら、自然免疫の科学的機能の評価はまだ研究が始まったばかりで、多くの人にきちんと理解されていない。そのため、自然免疫を活性化する素材が充分に生かされないような取り方をしている例も見られる。

そこで、本コラムでは、現在の自然免疫の制御についての知見を科学的に紹介し、免疫食品(免疫賦活作用を有する機能性食品)等の開発に必要な自然免疫賦活素材評価のポイントを紹介したい。

  著者:   作成:2010/8/17 17:42:15 自然免疫(natural immunity/innate immunity)は生まれながらに備わっている異物を識別排除するシステムである。液性因子としては、レクチン、補体、抗菌ペプチドなど、細胞性因子としては、マクロファージ、顆粒球、ナチュラルキラー細胞、上皮細胞などが知られている。獲得免疫(acquired immunity/specific immunity)は異物が体内に侵入してから、その異物が有する抗原部位(タンパク質や多糖など)を高度に認識するB細胞では免疫グロブリンが、T細胞ではTCR(T cell receptor: T細胞受容体)が遺伝子組換えの後に産生されて成立する。液性因子としては、抗体、TCRなど、細胞性因子としては、B細胞、T細胞、樹状細胞などが関与している。 さて、自然免疫は、獲得免疫と比べると、進化的に古い機構であり、異物排除に役に立たないものとする風潮が長くあったが、20世紀末から、自然免疫の生体維持における重要性が再認識され初めて来た。その第一の理由は、自然免疫が獲得免疫の成立に必須であるということが明らかになったことにある。初めて接する異物に対しては、免疫的な記憶が存在しないので、特異免疫は起動出来されない。一方で、すべての異物に対して認識することが出来る自然免疫が異物を緩やかに排除し、その情報をT細胞やB細胞に渡して、その後に強い特異免疫が確立していくのである。自然免疫は生存に必須な免疫機構なのである。第二に、トル様受容体(Toll like receptor, TLR)の発見である。それまで、異物認識機構が不明であったことにより、自然免疫が ...続きを読む

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      著者:   作成:2010/8/17 17:42:18 獲得免疫は利根川進先生の抗体の遺伝子再構成の解明や、TCR (T cell receptor: T細胞受容体)の解明など、分子生物学的手法により華々しい成果を上げてきた。一方、自然免疫は獲得免疫と比較して、抗原認識が曖昧である、特異性が低い、などの点から特異免疫に比べて、研究の切り口が無く、科学的研究対象になりにくいものであった。そのため、マクロファージの研究者は少数派として、実に肩身の狭い思いをしていた。 ところが、1997年のMedzhitovらがショウジョウバエ成体で自然免疫応答を誘導するTollのヒトでのホモログToll like receptor (TLR) が自然免疫応答を誘導することを発見したこと(ref. 1)は、自然免疫研究のエポックメイキングであった。1998年にはTLRがリポポリサッカライド(lipopolysaccharide: LPS)の受容体であることが発見された。その後、審良静男先生がTLRシリーズのノックアウトマウスを生みだし、これまで解析出来なかった自然免疫の世界を一変させた。TLRファミリーが次々と細菌やウイルス由来の物質を認識する受容体であることが見いだされ、シグナル伝達機構が明らかになり、これまでの霧が一気に晴れる状況となった。例えば、国立予防衛生研究所の徳永徹先生の結核菌由来の免疫成分の話であるが、結核菌には細胞壁のペプチドグリカンや遺伝子(DNA)が免疫活性を有するという報告である。それまで遺伝子は大腸菌もヒトもそれほど変わるはずないとする常識からはDNAが免疫を活性化するとは、俄に信じがたいものであった。その後、徳永先生は非メチル化 ...続きを読む

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