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近年、タンパク質研究がプロテオミクスへと変貌した最大の要因は、大規模ゲノム解析による遺伝子配列データベースの充実と質量分析計の技術革新である。以前はプロテインシークエンサーを用いてタンパク質の部分アミノ酸配列を決定したのちに、対応する遺伝子を取り出して、DNA塩基配列を決定することから研究が始まった。長い時間と労力が必要で、タンパク質の取り扱いやタンパク質化学を究めるという職人芸的技術ノウハウも必要とした。しかしながら、現在では、電気泳動後のタンパク質バンドのトリプシン消化物を精密質量分析することで短時間で簡単にタンパク質を同定することが可能となった。質量分析による同定は、解析パターンとデータベース配列との一致度によりタンパク質を特定することからデータベースの充実がなければ今日ほどの普及はない。
はじめに:タンパク質化学からプロテオミクスの時代へ

10数年前まではタンパク質化学的手法の技術開発により、微量タンパク質の構造を正確に解析することに主眼がおかれていた。しかしながら、フェムトモルレベルで検出できる質量分析計によりタンパク質構造解析の圧倒的な高感度化が達成されることになった。このような技術的背景に支えられて、ゲノムからプロテオミクスの時代が幕を明けることになる。ヒトゲノム完全解読宣言がなされた2003年にはすでにプロテオミクスブームとなり、「質量分析→データベースサーチ→タンパク質同定」のプラットフォームが定着した。

現在では、このようなタンパク質解析技術を診断や創薬ターゲットとしてのバイオマーカー探索へと応用されることとなり、二次元電気泳動法や質量分析を使った発現タンパク質の比較解析が広く行われている。次の段階として見出されたバイオマーカー候補が実際の診断や新薬開発ターゲットとして役立つかどうかの評価へと進むことになる。また、ターゲットタンパク質が生体内でどのような機能を有するかを明らかにするために相互作用解析などの機能解析が必要となる。

はじめに:自然免疫が注目されている理由とは?

生物は40億年の長きにわたり生存してきたが、これを支えてきた、生まれながらに持つ、個体を守る機構がある。これが自然免疫である。さらに、約5億年前に出現した脊椎動物以降は、異物識別に関する遺伝子の再構成により、極めて微細な差異でも認識出来る異物受容体(T細胞受容体、抗体)製造機構を獲得し、それにより異物を特異的に認識し排除する獲得免疫(特異免疫)が出来た。獲得免疫は自然免疫から発達した機構であるが、我々の体に、初めて侵入する異物に対する排除機構は自然免疫が担っており、自然免疫から獲得免疫に情報が橋渡しされることで、獲得免疫が成立する。


脊椎動物の中でも、人間をはじめとするほ乳類は獲得免疫が高度に発達しており、優れた異物排除機構を持つ。しかし、その一方で、高度に複雑化した異物認識機構は、何らかの異常により、自己を異物として識別することがある。すなわち、自己免疫疾患や、獲得免疫系に存在する免疫のバランスが破綻して引き起こるアレルギー性疾患などは、これらを治すことは困難であり、現代でも難病であり多くの人が苦しんでいる。例えば、日本人の花粉症、アトピー性疾患などの疾病罹患者は約2000万人いると推定されている。

さて、皆さんも、調子のいいときには風邪をひかないが、調子が悪いと風邪をひく(インフルエンザに感染する)ということを体験していると思う。この調子がいいとは何を意味するのか定義は難しいが、これは自然免疫機構が機能的に働き、進入異物を効果的に排除していることと理解してみることが出来る。すなわち、自然免疫の機能がきちんと働いていればウイルスや細菌などの病原体の侵入を阻止し、癌細胞などの不要な異物化自己細胞を効率よく排除すれが、病気に罹りにくくなる。逆に、自然免疫の働きが弱まると病気になりやすくなる。もし、常に調子がいい状態(健康)が維持出来れば、ワクチンも要らない。そうすれば、抗生物質も要らない。そうなると、薬剤耐性菌の出現という社会問題も回避できる。

そうしてみると、多くの健康食品や、それに関連する事柄は、自然免疫で理解すると極めてわかりやすいのである。上述したアレルギー性疾患など、後の章で述べるが、自然免疫の制御により予防が十分可能なのである。しかしながら、自然免疫の科学的機能の評価はまだ研究が始まったばかりで、多くの人にきちんと理解されていない。そのため、自然免疫を活性化する素材が充分に生かされないような取り方をしている例も見られる。

そこで、本コラムでは、現在の自然免疫の制御についての知見を科学的に紹介し、免疫食品(免疫賦活作用を有する機能性食品)等の開発に必要な自然免疫賦活素材評価のポイントを紹介したい。

はじめに:ポストゲノム時代の糖鎖研究

ポストゲノム時代といわれて以来、糖鎖はその生理機能について注目されてきた。しかしながら、ゲノムやプロテオームと異なり、未だ爆発的な研究の発展、産業化への移行は起こっていない。その理由として考えられるのは基盤技術の未熟さがあげられる。

遺伝子やタンパク質の構造解析は、シーケンサーが研究の初期段階において開発され、その後速やかに市場導入された。糖鎖の構造解析は、これまで熟練した技術を必要とされてきたが、時間飛行型マトリックス支援型質量分析装置 (MALDI-TOF-MS) の登場により、以前より簡便に糖鎖構造解析がおこなえるようになった。

構造決定された糖鎖がどのような酵素によって生合成されるか、その糖鎖が欠損した場合、どのような影響が表れるかについては、糖鎖合成酵素のクローニング、合成酵素のノックアウト、ノックダウン、トランスジェニック動物を作ることで生理機能が分かるようになってきた。ところが、糖鎖合成法に関しては、決定打となる方法は現在も開発されていない。

遺伝子やタンパク質は大腸菌や酵母、培養細胞を使えば、簡単に増やすことが可能である。糖鎖に関しては簡単に増やすことができない。これがボトルネックとなって糖鎖研究の発展を妨げていると考えられる。本当にヒトの生体内で発現しているような糖鎖(ヒト型糖鎖)の合成は、全くできないのだろうか?実際はそうではない。糖鎖の合成法は大きく分けて4つに分けられる。しかし、それぞれ長所、短所があり、現在問題点の解決に多くの研究者が心血を注いでいる。ここでは4つの糖鎖合成法の現状及びその長所と短所を説明する。




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