海外学会ダイジェスト米国人類遺伝学会 (The 64th Annual Meeting of the American Society of Human Genetics)犬と人間の口唇裂と口蓋破裂に関係する変異が突き止められる - バイオマーケットjp

犬と人間の口唇裂と口蓋破裂に関係する変異が突き止められる

ASHG 


 >  海外学会ダイジェスト  >  米国人類遺伝学会 (The 64th Annual Meeting of the American Society of Human Genetics)  >  犬と人間の口唇裂と口蓋破裂に関係する変異が突き止められる

  著者:  作成:2014/12/3 9:00:00

人間と純血種の犬の奇形を研究している研究グループが、妊娠中に口唇と口蓋が正しく形成されないために起きる口唇裂や口蓋破裂とADAMTS20遺伝子の突然変異との関係を突き止めた。その研究報告がASHG2014年年次会議でプレゼンテーションされた。

ADAMTSは、「A Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin Motifs」の頭字語で、ペプチダーゼ・ファミリーの名称である。人間の体内ではADAMTS20などこのファミリーの19種のペプチダーゼが発見されている。ADAMTSタンパク分解酵素の機能として知られているものには、プロコラーゲンやフォン・ビレブランド因子の処理、アグレカン、バーシカン、ブレビカン、ニューロカンの開裂がある。これらのタンパク質は、結合組織の構成、凝固、炎症、関節炎、血管新生、細胞移動などに重要な役割を果たしていることが突き止められている。また酵素活性のないADAMTSL (ADAMTS様) タンパク質の同族サブファミリーについても説明があった。

University of California, Davis, School of Veterinary Medicineの大学院生、Zena Wolf, B.S.は、「この研究成果から、人間と犬双方の奇形の原因についてより理解が深まれば、人間、動物双方の医療に大きな変化をもたらす可能性がある」と述べている。人間でも犬でも口唇裂や口蓋破裂は程度の違いこそあれ自然に起きており、遺伝要因や環境要因が原因として考えられる。Ms. Wolfは、「純血種の犬はごく少数の個体の間で交配が行われており、遺伝子の違いが少ないため、そのグループの中での口唇裂や口蓋破裂発生は研究しやすい」と述べている。これまでの研究では、犬の口唇裂22症例のうち12症例で顔と頭蓋骨の発達に関わるDLX5とDLX6という2種の遺伝子の突然変異が関わっていることが突き止められている。ところが、この2種に相当する人間の遺伝子の突然変異は研究サンプル30症例のうちわずか1症例でしか関係が見られなかった。

Ms. Wolfと同僚研究者は、他にも関わっている可能性のある遺伝子を探し、口唇裂、口蓋破裂の犬のゲノムとこの種の奇形のない犬のゲノムとを全体にわたって比較するゲノムワイド関連分析 (GWAS) を行った。その結果、ADAMTS20遺伝子のエンコードするタンパク質がこの遺伝子の突然変異で75%も短くなり、奇形もこれに関連していることが判明した。過去の研究ではADAMTS20は口蓋の発達と形成に関与していることが裏付けられているが、自然に起きる突然変異は特に明らかになっていなかった。

口唇裂や口蓋破裂のある人間についても同様なゲノムワイド関連分析が行われ、人間のADAMTS20遺伝子の突然変異でも同じ症状が起きるリスクが高くなる可能性があるという結果が出た。Mr. Wolfは、「人間の口唇裂や口蓋破裂は複雑な条件があるため、犬をモデル化するというのはこのような奇形の研究をかなり単純化できる」と述べ、「研究が人間に役立つだけでなく、犬にも役立つようになる」と付け加えている。この研究には、University of California, Davis の研究チームの他、University of Pittsburgh、University of Iowa、オーストラリアのUniversity of Sydneyの共同研究者が参加した。

研究者は特にNova Scotia Duck Tolling Retriever種を対象に選んだ。この種は純血種の中でも 特に口唇裂や口蓋破裂の症状が多いことで知られている。「Toller(おびき寄せる者)」と名...

 

続きを読む
ログインしてください

    この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
    このエントリーをはてなブックマークに追加

    « ケート・ミドルトンのつわりにかかわる遺伝が解明されるか、腎多嚢胞病 (PKD) との関係を示唆
    複雑な2型糖尿病や肥満の症状の解明 »



    友達にメールで勧める友達に伝える

    投票数:38平均点:5.00

    おすすめ製品・サービス

    ソルナックチューブ
    リン酸塩緩衝液でのLC/MSを可能にするオンライン脱塩チューブ(ディスポ)、流量0.3ml/min 対応! HPLCと質量分析計の間に接続するだけで、移動相溶媒中のリン酸塩やトリフルオロ酢酸、微量に含まれるアルカリ金属などをオンライン・リアルタイムに除去できます。ラインナップは以下の三種類。CFAN(アニオン交換+カチオン交換):リン酸塩緩衝液のオンラインLC/MS測定CFOO( ...
    • 用語の定義について
       まず、いくつかの主要用語を定義し、区別しておくことが重要である。まず、「 targeted proteomics 」と「 discovery proteomics 」であるが、「 dis…続きを読む (2016-7-13)  
    • Hyper Reaction Monitoring-Mass Spec (HRM-MS)
      HRM-MS™ (2) は、スイスのチューリッヒに本社を置く次世代プロテオミクス界をリードするBiognosys AG で開発された次世代ハイコテント・プロテオミクス技術である。 H…続きを読む (2016-7-13)  
    • Digital Biobanking: 未来のプロテオミクス
       Biognosysis社によると、HRM-MS™ の特長の一つは、サンプル測定の時には重要と分かっていなかった、あるいは重要と考えられていなかったタンパク質やタンパク質アイソ…続きを読む (2016-7-13)  
    • Integrated Diagnostics社のXpresys Lung Test
       The Xpresys® Lung Testは、2013年10月に市場に発表された。この製品は、簡単な採血だけで、肺結節 (ILNs) が良性かどうかを示す発現のシグネチャーの手…続きを読む (2016-7-13)  
    • Biodesix社のVeriStrat® NSCLC Proteomics Test
       カナダとカリフォルニアを拠点に事業を展開するBiodesix, Inc.は、がん患者の治療成果向上のために血液検査による診断検査法の開発と商品化を行う分子診断法開発企業である。 同社…続きを読む (2016-7-13)  
    運営会社:バイオアソシエイツ株式会社

    バイオマーケットjpは、ライフサイエンス研究者・バイオビジネス関係者のための会員制サイトです。

    ユーザー登録すると...

    コンテンツの全文表示・コメント投稿・各種お申し込み・ダウンロード等、

    様々なユーザー専用機能をご利用いただくことができます。

     

    ユーザー登録は1分で完了

    ユーザー登録は無料

    運営者:バイオアソシエイツ株式会社

      登録ユーザー数
      2966人
      2018年04月22日 現在
      31 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが ライフサイエンスレポート を参照しています。)
      登録ユーザ: 0 ゲスト: 31
      BioQuick ニュース

      BioQuick Newsは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中の生命科学関連のニュース・トピックスをタイムリーにお届けします。BioQuick Newsは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
      BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill.

      抗体よもやま話
      創薬よ何処へ
      アクセスカウンター
      DATEVisits/PVs
      2018/04/22:690/5977
      2018/04/21:719/18607

       

      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
      バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。