海外学会ダイジェスト米国人類遺伝学会 (The 64th Annual Meeting of the American Society of Human Genetics)子供の遺伝子が母体のリューマチ様関節炎リスクに影響 - バイオマーケットjp

子供の遺伝子が母体のリューマチ様関節炎リスクに影響

ASHG 


 >  海外学会ダイジェスト  >  米国人類遺伝学会 (The 64th Annual Meeting of the American Society of Human Genetics)  >  子供の遺伝子が母体のリューマチ様関節炎リスクに影響

  著者:  作成:2014/12/1 9:00:00

子供の遺伝子の構成が母体のリューマチ様関節炎の原因になる可能性が見つかった。これはこの疾患が男性より女性に多いという現象の説明になる。このような研究結果がASHG 2014年年次会議で紹介された。

リューマチ様関節炎は主として関節が炎症を起こし、激しく痛む症状で、遺伝や環境要因、ライフスタイルや過去の感染症などが原因とされている。また、女性がこの疾患にかかる率は男性の3倍くらいの高率で、40代から50代の女性がもっとも発症しやすい。遺伝要因ではまとめて「shared epitope alleles」と呼ばれる免疫系遺伝子HLA-DRB1の特定形式がこの症状と関連している。HLA遺伝子は、病原体に感染した場合の免疫系の反応に関わっている他、移植医療でも自分自身の細胞と外来の細胞の区別をする作用に関わっていることが知られている。

University of California, Berkeleyの大学院生で、この論文の第一筆者のGiovanna Cruz, M.S.は、女性がリューマチ様関節炎にかかりやすいというのは妊娠が何らかの関わりをしていることを示している。妊娠中にはごく少数ながら胎児の細胞が母体の体内を循環しており、一部の女性の場合にはそれが何十年も続くようだ。胎児マイクロキメリズムと呼ばれる胎児細胞が母体内に定着する現象は、リューマチ様関節炎の症状を持つ女性にはそうでない女性よりも頻繁に見られ、これがリューマチ様関節炎発症リスク要因になっている可能性がある。なぜそのようなことが起きるのかはまだ分かっていないが、HLA遺伝子とその活動が関わっている可能性が大きい」と説明している。

研究チームは、shared epitopeまたはその他の形のリューマチ様関節炎リスクと関わりがあると見られるHLA遺伝子 のある女性とない女性、その子供の遺伝子を分析した。その結果、子供が父親から遺伝した高リスク・アレルを持っている場合、母体間の遺伝子の違いを考慮した場合でも、リューマチ様関節炎を発症するリスクが大きくなることを突き止めた。このような結果から、女性が持っているリューマチ様関節炎発症リスクに加えて、特定の高リスク・アレルを持つ子供を懐胎した場合、同疾患を発症するリスクが高まることが示されている。

Ms. Cruzは、「shared epitopeその他のHLAアレルがリューマチ様関節炎のリスクを高める機序はまだ分かっていないが、一つの可能性として、このような遺伝子がエンコードするタンパク質同士の相互反応が自己免疫疾患症状を刺激することが考えられる」と述べている。言い替えれば、母体の免疫系が胎児細胞の生成するタンパク質を検出し、母体内に定着している胎児細胞を外来の脅威と見間違い、そのために免疫反応を起こし、リューマチ様関節炎症状を引き起こすということになる。この仮説は女性が男性よりリューマチ様関節炎のリスクが高いことを説明できるだけでなく、女性の子供またはパートナーがリスクを高める遺伝子を持っているかどうかを調べることでリューマチ様関節炎リスクをより正確に計ることができるようになるかもしれない。

Ms. Cruzと研究チームはこの分野の研究をさらに進める計画を立てている。その他の将来的な研究として現在発症している患者の母親などリューマチ様関節炎の症例を多世代にわたって遺伝学的に解析することや、HLA...

 

続きを読む
ログインしてください

    この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
    このエントリーをはてなブックマークに追加

    « 短命、がんリスク増大と関連するY染色体のモザイク喪失
    ケート・ミドルトンのつわりにかかわる遺伝が解明されるか、腎多嚢胞病 (PKD) との関係を示唆 »



    友達にメールで勧める友達に伝える

    投票数:36平均点:5.28

    おすすめ製品・サービス

    iCubate 自動DNAサンプル調製システム:特許マルチプレックスPCRでPCRバイアスを排除。完全密封型カセットでコンタミ防止。
    特許のマルチプレックスPCR (arm-PCR)テクノロジーによるPCRバイアスを排除したDNAサンプル調製。 icubate社の自動DNAサンプル調製システムは、核酸抽出〜マルチプレックスPCR (arm-PCR)〜マイクロアレー・ハイブリダイゼーションの全工程を約3時間で自動処理可能です。 マルチプレックスPCR後の生成物は簡単に回収可能なのでNGS用ライブラリー調製にも最適です。
    • 用語の定義について
       まず、いくつかの主要用語を定義し、区別しておくことが重要である。まず、「 targeted proteomics 」と「 discovery proteomics 」であるが、「 dis…続きを読む (2016-7-13)  
    • Hyper Reaction Monitoring-Mass Spec (HRM-MS)
      HRM-MS™ (2) は、スイスのチューリッヒに本社を置く次世代プロテオミクス界をリードするBiognosys AG で開発された次世代ハイコテント・プロテオミクス技術である。 H…続きを読む (2016-7-13)  
    • Digital Biobanking: 未来のプロテオミクス
       Biognosysis社によると、HRM-MS™ の特長の一つは、サンプル測定の時には重要と分かっていなかった、あるいは重要と考えられていなかったタンパク質やタンパク質アイソ…続きを読む (2016-7-13)  
    • Integrated Diagnostics社のXpresys Lung Test
       The Xpresys® Lung Testは、2013年10月に市場に発表された。この製品は、簡単な採血だけで、肺結節 (ILNs) が良性かどうかを示す発現のシグネチャーの手…続きを読む (2016-7-13)  
    • Biodesix社のVeriStrat® NSCLC Proteomics Test
       カナダとカリフォルニアを拠点に事業を展開するBiodesix, Inc.は、がん患者の治療成果向上のために血液検査による診断検査法の開発と商品化を行う分子診断法開発企業である。 同社…続きを読む (2016-7-13)  
    運営会社:バイオアソシエイツ株式会社

    バイオマーケットjpは、ライフサイエンス研究者・バイオビジネス関係者のための会員制サイトです。

    ユーザー登録すると...

    コンテンツの全文表示・コメント投稿・各種お申し込み・ダウンロード等、

    様々なユーザー専用機能をご利用いただくことができます。

     

    ユーザー登録は1分で完了

    ユーザー登録は無料

    運営者:バイオアソシエイツ株式会社

      登録ユーザー数
      2966人
      2018年04月22日 現在
      29 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが ライフサイエンスレポート を参照しています。)
      登録ユーザ: 0 ゲスト: 29
      BioQuick ニュース

      BioQuick Newsは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中の生命科学関連のニュース・トピックスをタイムリーにお届けします。BioQuick Newsは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
      BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill.

      抗体よもやま話
      創薬よ何処へ
      アクセスカウンター
      DATEVisits/PVs
      2018/04/22:689/5954
      2018/04/21:719/18607

       

      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
      バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。