海外学会ダイジェスト米国人類遺伝学会 (The 64th Annual Meeting of the American Society of Human Genetics)短命、がんリスク増大と関連するY染色体のモザイク喪失 - バイオマーケットjp

短命、がんリスク増大と関連するY染色体のモザイク喪失

ASHG 


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  著者:  作成:2014/12/1 9:00:00

サンディエゴで開かれたASHG2014年年次会議で発表された研究報告によると、高齢男性にしばしば見られる血球中のY染色体の加齢によるモザイク喪失 (LOY) は、様々ながんのリスクの増大や短命と関連している。

この論文の筆頭著者で、スエーデンのUppsala University の遺伝学者でもあるLars Forsberg, Ph.D.は、「この研究結果から、Y染色体を持たない女性と比べて男性の寿命が短く、また性別に無関係ながんにかかる率が高い理由も説明がつく」と述べている。

LOYは、男性の血球複製時に時々起きる現象で、体各所で気まぐれのように起きる。この現象は50年ほど前に初めて報告されているが、その原因についても影響についてもほとんど説明がついていない。最近の遺伝学技術の進歩でごくわずかな数の血球がLOYになっただけでも血液検査で発見することができるようになった。

Dr. Forsbergと同僚研究チームは、過去40年にわたり臨床的に健康状態をチェックされている70歳から84歳までの男性1,153人の血液サンプルを調べた。その結果、LOYが確認された血球の比率が大きい男性は、LOYが現れていない男性に比べて平均5.5年短命という結果が出た。さらにLOYが進行する結果、研究期間中も高い率でがんで死亡している。

研究対象となった男性の年齢その他健康状態を考慮して調整しても、LOYとこの2つの現象の間には統計的に有意な相関性があった。この研究論文の共同著者で、Uppsala University教授を務めるJan Dumanski, M.D., Ph.D.は、「Y染色体は性別を決める遺伝子と精子生産の遺伝子しか持っていないと考えている人が多いが、実際にはY染色体の遺伝子は様々な機能を持っており、がん予防にも一役買っている可能性がある」と語った。

LOYが起きるとY染色体の遺伝子は発現せず、がん予防機能も弱まる。興味深いことに血球中のLOYは、血液系外も含め、様々ながんと関連している。おそらく、がんを防止するために免疫系ががん細胞を検知して殺す免疫監視というプロセスがあり、Y染色体の遺伝子が血球にこのプロセスを助けさせているのではないかと考えられている。Dr. Forsbergは、「私たちの仮説は、通常、血球が行っている免疫監視をLOYが妨げるため、がん細胞が監視を受けずに成長を続け、がんにまで成長するのではないかということだ」と述べている。

この研究成果から、男性のがんリスクの早期発見手段として、血液検査でLOYを調べるということが考えられる。Dr. Forsbergは、「血球のごく少数であればLOYもそれほど危険ということではないが、Y染色体を持たない血球が増えてくればがんのリスクも高まるが、発病までに何年もあるので、その間にリスクを引き下げる措置を取ることができる」と語っている。この研究論文は2014年4月28日付 Nature Genetics abstract オンライン版に初出掲載。

 

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