CLOCK遺伝子が人間の脳の進化の秘密を握るのか?

2018
1月 18
(木)
11:00
遺伝子研究のライフサイエンスニュース

CLOCK遺伝子が人間の脳の進化の秘密を握るのか?

人間のを特別なものにしている分子レベルの秘密を解明しようとして、多くの研究者が、何千年もの間の進化を促してきたプロセス、認知発達に重要な役割を果たした遺伝子などの解明に取り組んできた。さらには人間の体内時計を制御している遺伝子が、の進化に重要な人間固有の遺伝子の働きを調節する役割も引き受けていることを示す新しい研究が発表され、この分野に新しい知見が生まれている。

University of Texas (UT) Southwestern, O’Donnell Brain Instituteの研究結果は、の機能や、ニューロンが脳の中で所定の位置を見つけるプロセスにCLOCK遺伝子のつくるCLOCKタンパク質が関わる仕組みを解明する道筋を示している。UT Southwestern, Peter O’Donnell Jr. Brain Institute所属の神経科学者、Dr. Genevieve Konopka (写真) は、「特に人間のよく折りたたまれた大型のに関して、その進化に重要な遺伝子が研究課題になっている。私達は、CLOCKが概日リズム以外にも様々な遺伝子を調節しているという証拠を見つけており、人間のの発達と進化にとって重要な分子的経路の序列の中のキーポイントとして位置づけることができる」と述べている。

人間のは、人間に最も近い生物のチンパンジーと比べてもはるかに大きい。しかし、の認知能力は大きさだけでは決まらず、クジラやイルカなどの哺乳動物は人間より大きい脳を持っている。そのため、人間の脳が他の動物より賢い原因を解明しようと努めてきた。Dr. Konopkaの研究は新皮質という領域に焦点を当てた。新皮質は皮質の中ではもっとも新しく進化した部分と考えられており、独特な折り畳みが特徴で、視覚や聴覚に関連した領域である。

2012年、Dr. Konopkaの研究室は、他の霊長目のに比べると、人間のの新皮質ではCLOCKの発現が増大していることを突き止めたとする研究を発表した。さらにこの研究結果は、これまで概日リズム機能の中心とは考えられていなかった神経領域で体内時計タンパク質が何をしているのか、という疑問を生んだ。2017年12月1日付Genes & Developmentオンライン版に掲載されたこの新研究はいくつかの答を示しており、CLOCKは、の進化に重要な一組の遺伝子群を調節しており、他の霊長目と比べると、遺伝子の発現する位置やその度合いに違いがある。また、CLOCKは、認知障害と関連する遺伝子を調節しており、人間のの神経細胞移動にも重要な役割を果たしている。この神経細胞移動は、脳内の他の部分でつくられたニューロンがそれぞの所定の神経回路に移動するプロセスである。この神経細胞移動に問題が起きると様々な認知障害が起きる。

Genes & Development誌掲載のこの研究は、「Novel Transcriptional Networks Regulated by CLOCK in Human Neurons (人間のニューロン中でCLOCKが調節する新発見の転写制御ネットワーク)」と題されている。

 

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