正常細胞中の線維芽活性化タンパク質 (FAP) の阻害で膵がん抑制も可能と証明

2017
11月 30
(木)
13:00
臨床医学のライフサイエンスニュース

正常細胞中の線維芽活性化タンパク質 (FAP) の阻害で膵がん抑制も可能と証明

膵臓がんは致命的であり、生存期間中央値は6か月未満である。また、診断後5年生存する膵臓がん患者は20人に1人しかいない。そのように致命的な原因はこのがんの狡猾さにある。がん細胞は身体の奥深くに隠れており、がんが他の器官に広がってしまう末期になるまでどんな症状も示さないのである。

University of Pennsylvaniaが中心になって行った研究チームの研究により、将来的には奥深く隠れている転移性がん患部でさえも根こそぎしてしまう治療法の有望な標的が示されている。研究チームが膵臓がんのマウスでこのタンパク質をエンコードしている遺伝子を削除したところ、マウスは長生きし、他の器官へのがん転移が減ったとしている。
 
University of Pennsylvania, School of Veterinary MedicineのChair of the Department of Biomedical Scienceで、論文の首席著者を務めたDr. Ellen Puréは、「このタンパク質を標的にすることで原発腫瘍に大きな変化があるものと期待していた。確かに原発腫瘍の進行に遅れは出たが、もっと大きな変化は転移にあった。このタンパク質はドラッガブルな標的のように見えており、今後さらにフォローアップ研究を続けることで患者に役立つ新薬に結びつく可能性がある」と述べている。

Dr. Puréは、Penn VetのAlbert Lo、Elizabeth L. Buza、Rachel Blomberg、Priya Govindaraju、Diana Avery、James Monslow各Dr.、Taipei Veterans General HospitalおよびNational Yang-Ming University School of Medicine所属のDr. Chung-Pin Li、TaipeiのAcademia Sinica Genomics Research Center所属のDr. Michael Hsiaoらと共同研究を進めた。その研究結果は2017年10月5日付のジャーナル、「Clinical Investigation Insight」オンライン版に掲載されている。このオープンアクセス論文は、「Fibroblast Activation Protein Augments Progression and Metastasis of Pancreatic Ductal Adenocarcinoma (線維芽活性化タンパク質膵管腺がんの進行と転移を増大させる)」と題されている。
 
Dr. Puréと同僚の研究チームは、がん生物学について理解を深め、医薬の可能性を広げていくため、研究の分野も、分離したがん細胞の研究からがん細胞と周辺正常細胞との間の相互作用の全容まで昨今ますます広がってきている。いわゆる「腫瘍微環境」の研究から、腫瘍を取り囲んでいる一見「正常な」ストローマ細胞と呼ばれる組織も、様々な因子によって、がんの成長を阻害したり、許したり、さらには促進することさえあることが明らかになってきた。

 

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