カロリー制限がエピジェネティックドリフトを遅らせ、寿命を延ばす可能性が示された

2017
9月 28
(木)
11:00
遺伝子研究のライフサイエンスニュース

カロリー制限がエピジェネティックドリフトを遅らせ、寿命を延ばす可能性が示された

1世紀近く前、特定動物でカロリー摂取を抑えると寿命が飛躍的に伸びることが突き止められたが、それ以後、数々の研究の積み重ねにもかかわらず、その原因は詳しく解明されていない。Temple University (LKSOM), Lewis Katz School of Medicineの研究グループが難関を乗り越え、解明に向けて一歩を進めた。

2017年9月14日付Nature Communicationsオンライン版に掲載された新研究で、加齢と共にエピゲノムの変化する速度が種全体の寿命と関係があり、カロリー摂取制限でこの変化速度を抑えられることが突き止められ、長寿と関わっている可能性を示しているのである。

この研究論文は、「Caloric Restriction Delays Age-Related Methylation Drift (カロリー制限で加齢に伴うメチル化ドリフトを遅らせる)」と題されている。LKSOM のFels Institute for Cancer ResearcのDirectorで、この新研究で主任研究員を務めたJean-Pierre Issa, MDは、「私達の研究で、加齢によるゲノム内のDNAメチル化の得失似独特のパターンを持つエピジェネティックドリフトがヒトよりサルで、またサルよりマウスでより速く進むことが明らかになった」と述べている。
この研究結果で、マウスが平均で2,3年しか生きないのに、アカゲザルは約25年、ヒトは70年から80年生きることも説明がつく。

DNAメチル化のような化学修飾が哺乳動物の遺伝子を制御しており、遺伝子が起動される時のための目印の役目を果たしており、この現象はエピジェネティックと呼ばれている。Dr. Issaは、「メチル化のパターンは加齢に従って着実にドリフト(漂流)していき、ゲノムの一部ではメチル化が増すのに対して他の部分でメチル化が減ることがある」と述べている。以前の研究で、このような変化は加齢とともに起きることが示されていたが、その変化が寿命と関係しているのかどうかは明らかではなかった。

Dr. Issaの研究チームは、マウス、サル、ヒトという3つの種の異なる年齢の個体から採取した血液のDNAのメチル化パターンを初めて調べ、この発見につながった。マウスは2,3か月から3歳近い年齢、サルは1歳未満から30歳まで、ヒトは零歳から86歳までの範囲だった。ヒトの零歳児は血液採取の代わりに臍帯血を用いた。

加齢に伴うDNAメチル化の偏差をディープ・シーケンシング技術で解析し、その結果、メチル化が起きるゲノムの部位は年長の個体と若い個体では逆転しており、年長個体でメチル化が進むのは若い個体で非メチル化されている部位だという明白な違いがあった。

 

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