エクソーム解析で子宮内膜症の異常変異体を判別

2017
7月 11
(火)
18:00
先端診断のライフサイエンスニュース

エクソーム解析で子宮内膜症の異常変異体を判別

Johns Hopkins MedicineとUniversity of British Columbiaの研究者は、遺伝子シーケンシング・ツールを使い、子宮の外で子宮内膜状の組織が増殖し、ひどい痛みを伴う良性子宮内膜症患者24人の組織サンプルから一組の遺伝子変異体を発見した。2017年5月11日付New England Journal of Medicineに掲載されたこの発見により、いつか、侵襲性の強い子宮内膜症と臨床的に緩慢な非侵襲性子宮内膜症とを判別する分子レベルのテストを開発できる可能性がある。

NEJMの研究論文は、「Cancer-Associated Mutations in Endometriosis without Cancer (非がん性子宮内膜症中のがん関連遺伝子変異体)」と題されており、Johns Hopkins University School of MedicineのDepartment of Gynecology & ObstetricsでRichard W. TeLinde Distinguished ProfessorとJohns Hopkins Kimmel Cancer CenterでBreast and Ovarian Cancer ProgramのCo-Directorを務めるIe-Ming Shih, MD, PhD.は、「私達の研究での変異体の発見は、積極的治療を必要としているか、そうでないかを現場の医師が判定するために、子宮内膜症を分類する遺伝学ベースの検査法開発の第一歩ではないか」と述べている。

子宮内膜症は、子宮内の粘膜が子宮の外、特に腹部内に形成増殖される疾患であり、月経閉止前の女性の約10%がこの疾患にかかり、そのうち半数が腹痛や不妊に悩まされている。1920年代、Johns Hopkinsの卒業生で婦人科医だったJohn Sampsonが、初めてこの症状を"endometriosis (子宮内膜症)"と名付け、月経時に正常な子宮内膜組織が輸卵管を通じて腹腔内に漏れて広がった結果起きるのではないかとの仮説を提出した。

Dr. Shihは、「新しい研究でその仮説が覆されるかも知れない」として、組織サンプルに異常な変異体の組み合わせが見つかっており、子宮内膜症の原因は正常な子宮内膜細胞が突然変異するために起きている可能性があると述べている。また、この研究で発見された変異体も、まだ突き止められていない何らかの理由で一部のがんに見つかる遺伝子突然変異と関係があるようだとしつつも、子宮内膜症ではしばしば組織の異常増殖が腹腔内全体に広がることがあるが、卵巣にまで広がることがない限り、この疾患の組織ががん細胞になることはほとんどないと強調している。

 

続きを読む
ログインしてください

    この記事が役に立つたらぜひシェアしてください!
    このエントリーをはてなブックマークに追加
    前のニュース「
    次のニュース「
    閲覧(670)

    おすすめ製品・サービス

    GeneGlobe 遺伝子研究ポータルサイト
    GeneGlobeは遺伝子、パスウェイ・疾病に関する研究情報および製品情報が検索・注文できるウェブサイトです。 お客様のニーズにマッチしたアッセイテクノロジーやカスタムアッセイを簡単に検索できます。遺伝子発現解析、miRNA検出およびプロファイリング、変異検出、エピジェネティクスに関する研究のソリューションにGeneGlobeをお役立てください。
    セルソーター SH800S
    全自動セットアップ・小型化を実現した”日本発”セルソーターソニーが開発したセルソーターは、全自動セットアップ・小型化・低価格を実現した新世代セルソーターです。光軸調整、液滴形成、サイドストリーム調整、ディレイタイムの決定をすべて自動化し、手間のかかる設定作業を不要にしました。ソーティングチップは、細胞の種類やアプリケーションにあわせて3種類のオリフィスサイズから選択可能なほか、ディスポーザブルタイプの為簡単に交換できメンテナンス作業も不要です。さらにサンプルのキャリーオーバーによるコンタミネーションを防ぎます。ソニーのセルソーターは、初めてソーターを使われるお客様からヘビーユーザーの研究者の皆様まで、ワークフローの大幅な効率改善と低コスト化に貢献します。
    Ab-Capcher 抗体精製アフィニティ磁気ビーズ
    大容量の抗体精製に使用できる優れた結合能 Ab-Capcher 抗体精製アフィニティ磁気ビーズは、特許の高結合・アルカリ耐性 rProtein A 誘導体を結合したアフィニティ磁気ビーズです。 従来製品の約5倍の結合能とアルカリ洗浄による再使用ができるため、従来のアフィニティ磁気ビーズでは困難だった多量の抗体精製を簡便に行うことができます。 ラット・マウスをはじめ幅広い生物種の抗体精製にご利用いただけます。

    おすすめ製品・サービス

    iRepertoire TCR/BCRレパートリー プライマーセット:次世代シーケンサーによる網羅的シーケンス解析
    次世代シーケンシングによる免疫レパートリーの配列決定 次世代シーケンシングは、免疫レパートリーのV領域(またはV(D)J配列)をパラレルに数百万の塩基配列決定を可能にしますが、次世代シーケンサーの多くは配列のread-lengthに限界があります。 そこでiRepertoire社では、様々なread-lengthに対応したヒト・マウス免疫細胞のCDR3領域をカバーするマルチプレックスPCRプライマーセットを供給しています。
    Organ on a Chip 生体機能チップ
    マイクロ流体技術を応用した細胞培養デバイス ガラスとメンブレンによる再封可能な 三層構造チップです。細胞培養メンブレンの上下に流路チャンバーを形成することで 様々なかん流細胞培養環境を作りだします。細胞培養のための様々なフロー環境を提供するFluigent のポンプやライブセルイメージングを行うためのレンズレス顕微鏡SENZAもご利用いただけます。
    Xevo TQ-XS 超高感度タンデム四重極型質量分析計
    生体試料中薬物濃度分析、高分子医薬品の定量で、更なる高感度を実現Xevo TQ-XSには、更なる高感度分析のために、最適化された様々なテクノロジーが搭載されており、より高感度が必要とされるバイオ医薬品やADC(抗体薬物複合体)の定量分析で、信頼性の高い結果を得ていただけます。
    運営会社:バイオアソシエイツ株式会社
    BioQuick ニュース

    BioQuick Newsは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中の生命科学関連のニュース・トピックスをタイムリーにお届けします。BioQuick Newsは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
    BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill.

    APEX2015


    にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ

      登録ユーザー数
      2765人
      2017年07月28日 現在
      58 人のユーザが現在オンラインです。
      (55 人のユーザが バイオクイックニュース を参照しています。)
      登録ユーザ: 0 ゲスト: 58
      抗体よもやま話
      質量分析屋のネタ帳
      創薬よ何処へ
      アクセスカウンター
      DATEVisits/PVs
      2017/07/28:387/1695
      2017/07/27:862/21958

       

      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
      バイオマーケットjpのコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。引用される場合は出典元リンクの記載をお願いします。